ほんのりと怖い話スレ その72
874 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:02:11.68 ID:huDK09vf0
中学生くらいの時の話。
当時中の良かった4人で、肝試しすることになったんだ。俺の他をA・B・Cとしておこうか。
夏だったし、地区にあるトンネルの上に丁度良さげな廃病院があるってんでさ、その日の深夜にいくことにした。
結構距離があったけど、自転車でいったのよ。
875 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:04:02.66 ID:huDK09vf0
で、トンネルの前まで着いて横から階段を登る。暫く草を分けて進んでくと病院が見えてきた。
まだ結構距離あるなぁなんて思ってたら、
Aが目標を目前にして、「すまん、やっぱり絶対入りたく無い。気持ち悪い」って言い出したんだけど、
残りの2人がテンション上がり切ってて、
「勿体ないよ此処まで来たのに。俺たちだけでも行っちゃうよ?」
「此処で待ってる方が怖く無いか?」
って言ったんだけど、どうしても無理らしい。
876 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:07:13.69 ID:huDK09vf0
「いいよ、三人で行って来てくれ。トンネルの前で待ってるから、ごめんな。
つか本当にいくの?やめといた方がいいよ」
トンネルも一応心霊スポットで有名なんだが、そっちの方がマシだとまで言う。
俺はそれで少しびびっちゃったんだけど、
「そか、わかった俺たちだけで行くよ」
『俺たち』の中に俺も入ってんだろうなぁと思い、もう着いていくことにした
877 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:11:10.99 ID:huDK09vf0
「なんかあっても、絶対自分たちでなんとかしようと思うなよ。
後で誰か連れて来た方がマシだから、すぐにげてこい」
Aが言った。俺は完全にとどめを刺された。
また暫く歩いて、やっとこさ前までついた。
「うほー雰囲気あるなぁ!」
Bは楽しそうだが、俺はさっきAに言われたこともあって、かなりビビり始めていた。
「だれかいますかぁー?きたねぇとこですねー。うわぁボロボロ」
Cは楽しそうに病院に入っていく。おれはタモリの怖い話を思い出してしまう。
「いたらどうすんだよ、やめとけ」
「録音してるわけじゃないんだから。大丈夫だろw」
一階には手術台?以外特にめぼしい物がなく、二階に上がることにした。
879 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:15:29.44 ID:huDK09vf0
階段を上がって右手に廊下が伸び、その突き当たりで廊下が右に折れていた。
なんかわからんけど、そこがどうしようもなく怖くて、気持ち悪かった。Aの気持ちが分かった気がした。
「も…もういいだろ?帰ろうぜ」
「あそこだけっ調べてっ来るわ、怖いならお前もうここにいろよっ」
Cが妙に冷たく、たまに何かを飲み込む様に言い放った。
BどCが廊下を慎重に進んで行って、角に差し掛かった。
Bが膝からゆっくりうつ伏せになり、Cは廊下の先を見つめて
「フーッ……フーッ……」
深呼吸の様な、変な息の吐き方をしだした。体に動きがなかったから、吐き出してたのか。
880 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:20:54.33 ID:huDK09vf0
Aの言葉を思い出す。俺には何もできないんだと自分に言い訳をしながら、咄嗟に逃げ出した。
いまやさっきの気持悪い感じが、病院全体に広がってる気がした。
「っおォっ……グッぶっ……ごェえ……」
何か吐き出そうとしているが、何も出てこない。そんな嗚咽が聴こえてきた。Bの声だ。
直後に妙にはっきり、
「んぁ……カ……っカ……り」
音声に、ストロボかトレモロを当てた様な声が聞こえる。
BかCがおかしくなったのかと思っていたが、今でもわからない。
881 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:26:06.26 ID:huDK09vf0
走りたくなかった。出来るだけだれにもに気付かれず、逃げると言うよりもその場を離れたかった。
やっと病院を抜けて全力で走り出し、Aのところまでたどり着く。
「やばい!どうしよう!あいつらが、その!倒れちゃって!あの!どうしよう!」
「俺たちだけで帰ろう」
「ふえぇ!?」
肩透かしを食らった。
「俺たちじゃどうしようもねぇよ。仮に霊が見えたとして何ができんの?
急ぐぞ。俺たちまで倒れるようなことがあったらそれこそどうすんのさ?」
「いや、あっ!でもっ!!」
こんな時にいやに冷静だし、正論すぎて反論できなかった。
884 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:35:41.45 ID:huDK09vf0
「おぃーなんでおいていくんだよ!w」
寒気がした。BとCだ。ヘラヘラして階段の上に立っている。
「おまえら大丈夫かよ…?」
笑顔で近づこうとすると、すごい力でAに腕をつかまれた。
普段からアイラインを引いたように目がぱっちりした奴だが、いつにもまして大きくなっていた。
「おーい。おまえらそこにいろ、別々に帰ろうぜ」
そう言うや否や、Aが自転車にまたがった。
「いそげ、にげるぞ」
俺に囁いた。『帰る』から『逃げる』に言葉が変わっている事で、事態を把握した。
BとCが何やらわめいているが、俺たちは全力で自転車を漕ぎだした。
「別にあいつらにおかしいとこはないのかもしれない。気持悪い感じもしなかったしな。
でもお前息切らして走ってきたのに、あいつらに全然疲れてなかったろ?
つか、時間的にもおかしいんじゃ無いか?」
言われればそうだ。また怖くなってきた。
886 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:40:52.95 ID:huDK09vf0
「取り敢えずO神社行こう。最悪今日は泊めてもらおうな」
Aはずっと無表情で、俺をあやす様に言った。俺は泣き出してしまった。
階段を駆け上がり境内に入った。
「すみません!誰かいませんか」
Aが叫ぶと、不機嫌そうなおっさんが出てきた。
「何時だと思ってんだ!ややこしいもん連れてきやがって!クソガキが!何やらかした!」
よかったよかった。ここの人は本物らしい。
一通り起こったことを俺が話すと、
「その友達は外まできてるみたいだぞ。ここまで入ってこないとこをみると、そう言うことなんだろう。
今日はここで寝ろ。そんな得体のしれんもん、俺にはどうにもできんし、調べるつもりも無い」
その日、泣きながら眠りについた。
残りの夏休みは、妙な罪悪感に苛まれながら過ごした。
BとCには意図的に会わないようにした。
889 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 04:56:26.51 ID:tpAm3wlU0
そしてその年の冬、Cは授業のマラソン中にコースを外れて、
神社の階段の途中にある、大きな灯篭に押しつぶされて死んでしまった。
大人でも倒すのは到底無理なほど大きい。
Bは一昨日、他府県から地元に帰ってきたが、家には顔も見せず、
『ただいま』という留守電を両親に遺し自殺した。
この話を書こうと思ったのはBが死んだからなんだ。
んで、次は俺なんじゃないかと思ってる。
890 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 05:02:52.28 ID:BSg8yDpq0
乙
肝試しをしたのは何年前になるの?
891 :本当にあった怖い名無し:2011/05/22(日) 05:05:51.41 ID:tpAm3wlU0
>>890
有難う。いま25歳なのよねんで中3だったからなんさいだろ?
後日談的なもの~
夏休みが終わり、新学期が始まった。
あいつらとは同じクラスだから、如何しても会わないといけない。
Aにすがり付きながら朝登校すると、2人が話しかけてきた。
「あの病院のさ!お前が怖がって見なかった部屋あったじゃん?」
「あそこすげーきれいでよ、嘘みたいに」
「ベッド1つ置いてあっただけだったんだけど、見惚れるほどきれいだったよ!何かわかんねぇけど。
死ぬまでに見といたほうがいいよ。絵画みたいだった!」
2人はうれしそうに話す。Aが病院の話はやめようと言い、2人は少し反省していた。
2人が死ぬまで俺たち4人は、鏡台みたいに仲良く遊んだ。
話をしようと思ったもう一つの理由がある。
Aと2人で、もう一度あそこに行こうという話しになったんだ。
決行は明日。さすがに昼に行くし、除霊グッズはもってくつもり。
921 :892:2011/05/23(月) 02:42:05.07 ID:1DeR120w0
昨日、廃病院の話を投下したものです。続きってかまぁ、さっきの話。
結果だけ先にいうと、病院にはいけないんだ。すまんね。
俺は、個人的にあの部屋をみて見たかったんだ。
それに友達が死んでるし、何かやっぱり、やりきれ無いと言うか、
まぁあの2人の死はなにも関係なかったのかもしれないけど。
そんなこんなで、「明日行くんだし準備しようぜ」って、
Aと一緒に昼飯食った後、探り探りで霊に効きそうなものをホームセンターで買って、Aの家に行った。
んで、Aは車出せるから「それで行こうかー」なんて話してたんだ。
922 :892:2011/05/23(月) 02:44:12.11 ID:1DeR120w0
「あっ、言ってなかったんだけど」
「ん?」
「あの後、部屋に行ったんだ」
「おいー!」
「あいつらの説明聞いて気になって。
んでO神社の人、あの後取り付く島もなかっただろ?だから、なんとかしようと思って…
夏休み中に行ったんだ。
流石に昼に行ったよwつか俺自身霊が見えるわけでもないんだ。雰囲気で危ないかどうか分かるだけ。
だからなんか対策立てようと思って、Sと電話しながら行ったんだ。
役に立つかはわかんなかったけどねw」
924 :892:2011/05/23(月) 02:46:12.77 ID:1DeR120w0
Aが用意した『S』は当時まだ小学生で、
事故現場を通り過ぎただけで、どんな人が死んだか、何人死んだか分かるくらい、はっきり見える女の子。
Aの親戚の友達と言うわけのわからない関係だが、親戚にくっついてAの家によく来るらしい。
ある日、Aが携帯を忘れて家を出て、帰りが遅くなった時に、
Aの母が「どこにいるんだろねー」なんて言ってると、
「なんかいまうるさいとこにいる。あれ?A髪切ったの?あと中途半端な金髪の人がいるね」と言った。
その日Aは散髪後にカラオケへ行き、金に染めた頭がプリンになり始めた俺といたのだ。
これ以来Aは、不思議な事が起こるとSに相談する。
925 :892:2011/05/23(月) 02:49:19.79 ID:1DeR120w0
以下Aの話
電話しながら病院の前までつくと、流石に昼時だけあって雰囲気はだいぶ優しかった。
「今から病院に入るけど、大丈夫かな?」
「わかんない。大丈夫じゃない?ほんっとに1人も居無いよ」
これはフリか?
Sの言葉に不安になりながら、Aは入って行った。
話を聞いただけで実際に入るのは初めてだったから、入り口から入ってすぐに左に曲がって廊下を進んでしまう。
俺たちが登った階段は真ん中で折り返してたから、構造的にAが進んだ廊下はあの時の廊下の真下になる。
「ん、二階かな?」
Aが「昼でもやっぱ霊とかいるの?」と聞くと、
「時間帯は関係ないよ。タイミングが大事。わかる?」
別に会いに来たわけじゃ無いが、意を決してAは二階に上がった。
926 :892:2011/05/23(月) 02:53:27.81 ID:1DeR120w0
「…思ってたよりずっと怖いわ」
だれに言うでもなく声をだした。
あの先になにがあるんだろう。2人は何に苦しんだのだろう。
Aは廊下の先を睨みつけながら歩いて行った。
「今んとこなにもいないよ。もうやめたら?」
もう一歩踏み出して、体を右に向ければ部屋が見えるところまでついた。
「ちょっとわかんない。多分何もいないけど、もう帰ったら?ねえ?きいてる?」
Aはもはや聞いていない。
927 :892:2011/05/23(月) 02:58:20.92 ID:1DeR120w0
「その部屋なんっもなくてさ、まぁ入り口から見ただけなんだけでわかんねぇけど、
赤のペンキが塗りたくってあった。
部屋のどこまでそうなのかはわかんない。遠目に一瞬だけ見てすぐに帰ってきた。
流石に入れなかったよ、怖すぎ。無理無理。なにも出来ない。
Sに聞いたら、天井まで身長が届いて、首を少し傾げてる、
髪ぼっさぼさの女がつったってたってさ。部屋の奥にね。
俺の方振り向こうとした瞬間、俺がにげたんだってさ。
Sにも悪い事したよ。暫くうなされたって。カクカクした声が聴こえるんだってよ」
929 :892:2011/05/23(月) 03:02:47.03 ID:1DeR120w0
Aが語り終えた。
なんだか死にに行く様な感じがしてきた。
「とにかくさ、お前が行きたいって言った理由の一つは潰したよ。あそこに綺麗な部屋なんか無い」
「つかおかしいんだよ、あんなところに病院がある事自体。
この辺に俺たちの団地以外住宅は無いじゃん?
ほんの数十年前に山を切り開いて、ベッドタウンにしたわけだ。トンネルだってそうだろ。
どのタイミングで病院が建って、いつの間に廃墟になるの?
あんなとこに、だれがはるばる診察に行ってたんだよ」
Aが興奮気味になってきた。
「正直、行きたく無い。
いまんとこ俺たちには何も無いし、直接は気味悪い部屋見ただけだから良いけど……
別に死ぬのはあんまり怖くないし。でもあそこで死ぬのは絶っ対……嫌」
930 :892:2011/05/23(月) 03:10:11.75 ID:1DeR120w0
自分でもどうしたいのかわからなくなっていた。
「ぁ、へんな金髪野郎!」
Sが入ってきた。本当に偶然今来たらしい。
「おっきくなったなぁー。つか、よく覚えてんなw」
少し場が和んだ。Sは今高校生で、えらくポップでおしゃれになっていた。
「あそこ行こうとしてんでしょ?やめときなよ」
急に真顔になって、ベッドに座り込む。
「あたしたちは普通なの。特別でも何でも無い、もうほんとに普通。『何者か』ではないの。
Aはたまたまタイミングを外したから無事なだけ。つか、連れて帰ってきたら家いれないよ。
洋画に出てくる様な、陽気な黒人ポジションには立てないのよ。絶対すぐしんじゃう」
妙に説得力があった。
931 :892:2011/05/23(月) 03:17:34.35 ID:1DeR120w0
で、今に至る。
結局SがA母にチクったため計画は駄目になったが、Aはホッとしてる様に見えた。
その日、O神社に3人でいった。あのおっさん以外で、協力的な人間が居ないものかと考えたのだ。
「私はここに来てまだ日が浅いから、その病院は知らない。
でも何というか、この辺り一帯が気持悪いね。この団地中になんか変なとこいっぱい無い?」
その日おっさんは居らず、何だか気さくなねーちゃんが話をきいてくれた。
言われたとおり、変な箇所はいくつか思いついたし、そう言えば自殺もかなり多い。
「こうやって神社にいるけど、マニュアル通り対処出来る事なんてまぁ稀なんだよ。イレギュラーばっか。
だからあんまり危ない事されてもねぇ」
933 :892:2011/05/23(月) 03:24:42.27 ID:1DeR120w0
O神社を出て、小学校の前を歩いていた。
もう真っ暗で、何気なく小学校を眺めると、警備員の人が窓際を歩いている。
窓の連続が途切れる、丁度消火栓が壁に埋め込まれているゾーンに彼が差し掛かった。
反対側からは誰も出てこなかった。
「いま見えたでしょ?案外怖くないもんだよね、何もしてこないし」
Sが俺に微笑む。
今日、俺は初めてユウレイを見た。
おしまい。
長々と失礼しました。遊び半分でわけのわからないところにはいかない様にしよう!
SとAには、その後沢山不思議な話を聞いて別れましたとさ。
「『トンネルの上の廃病院』2/2」に続く
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