「『封印された記憶』1/2」の続き
ほんのりと怖い話スレ その26
47 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:06:40 ID:FDe9EqMh0
以下、退行催眠が始まってからのやり取りです。
テープ聴きながらなので、ほぼ原文で書けます。
15歳
N「○○くん、あなたは薪が嫌いですか?」
俺「嫌いです」
10歳
N「○○くん、君は薪が嫌いかな?」
俺「嫌いです・・・」
7歳
N「○○くん、君は薪が嫌いかな?」
俺「嫌いです・・・」
6歳
N「○○くん、君は薪が嫌いかな?」
俺「嫌いです・・・」
5歳
N「○○くん、君は薪が嫌いかな?」
俺「きらいじゃないです」
48 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:07:28 ID:FDe9EqMh0
6歳に戻る
N「○○くん、きみは薪が嫌いなんだよね。どうして嫌いになったのかな?」
俺「・・・・・・」
N「理由をお兄さんに教えてくれないかな?」
俺「やだ」
N「どうしてかな?」
俺「こわいもの(涙声)」
N「大丈夫だよ。お兄さんが傍にいるから。ね、怖くないよ話してごらん?」
20秒弱の沈黙
俺「あのね・・・」
49 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:08:15 ID:FDe9EqMh0
6歳の俺が語った事で全て思い出しました。事の顛末を書きます。
俺の実家は栃木の田舎なんです。
家は日本昔話に出てくるような純和風の家で、家もでかけりゃ土地も広い。
俺がまだ幼かったころ、俺は母さんの手伝いをよくしてました。
風呂はガスだったけど、うちのじいちゃんが「ご飯は薪で炊け」ということで、
ご飯はいつもかまどで炊いていたんです。
俺が幼稚園から帰ってきて夕方になると、母さんが「○ちゃん、薪おねがいね」と言って駕籠を渡してくる。
俺は駕籠を受け取って、母屋から50mくらい離れた薪小屋に走って、
その日のお気に入りを10本くらい選んで駕籠に入れる。
そしてまた母屋まで走って、母さんに「はいっ」って渡す。
母さんが薪をかまどに入れて新聞で火を付けて、薪がぷすぷす燃えてくると、
ご飯が炊き上がるまでの間、俺をおんぶして唄を歌いながらゆっくり家を一周してくれた。
俺はそのおんぶが楽しみで、母さんの背中が心地よくて大好きでした。
夕飯になると家族が全員揃う。
俺はそこで「きょうもね、ぼくが薪をえらんで運んだんだよ!」と自慢げに話す。
じいちゃんもばあちゃんも父さんも「○ちゃん偉いね。だからこんなにご飯がおいしいのね」って褒めてくれて。
それが嬉しかった。
50 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:09:06 ID:FDe9EqMh0
6歳のとき、幼稚園から小学校になっても薪を運ぶのは俺の役目で、
夕方になると母さんに駕籠を渡されて、薪小屋まで走る。
その日もいつものように駕籠を渡されて、薪小屋まで走った。
薪小屋は4畳くらいの四角い小さな小屋で、戸を開けると左右正面に薪がずらっと積んである。
だから実質の広さは1畳くらいしかない。
その日も当たり前のように戸を開けた。
俺から見て真正面、狭い小屋の中で、近所のお兄さんが首を吊って死んでいた。
狭いから距離なんかほとんどなくて、ほんとうに目の前でぶら下がっていました。
青いパジャマ姿で目を見開いて口からは涎を流して、下には小便らしき水溜り。
ちょうど物心がついた時期に、人の死をこんな形で見てしまった俺は半狂乱になったんでしょう。
51 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:09:53 ID:FDe9EqMh0
俺の叫び声に何事かと家族全員が駆けつけてきて、兄さんの死体を発見して大騒ぎになって。
その後は警察やら近所の人やらが来て、田舎での首吊り自殺なもんで、地域では大変な騒ぎでした。
そして俺はと言うと、少しおかしくなってしまってて、
ほとんど口を開かなくなり、夜中に突然大声で泣き出したりと、手に負えない子供になってしまった。
そんな孫を不憫に思ったじいちゃんが、俺を母方のおばあちゃんの家に1年間預けた。学校は休学。
(この辺の記憶は全くありません。母から聞いた話です)
その間に薪小屋とかまどを潰した。
そして1年後、実家に戻ってきた俺は、件の事件をすっぱり忘れてた。
実際は忘れてたんじゃなくて、
極度のストレスとトラウマによって心が破壊されるのを防ぐために、自分で記憶を封印してしまったんですね。
でも全ては封印出来なくて、薪を見ると理由も分からず凄まじい嫌悪感を抱くようになったと。
これが事の顛末です。
52 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:10:38 ID:FDe9EqMh0
ここからは余談です。
人間の脳って凄いなと思いました。
フラッシュバックっていうのか、思い出した瞬間、鮮やかな映像と記憶が蘇った。
お兄さんが着ていた服、小屋の様子、当時の家族の顔、風景、まるで昨日の事のように。
鮮やかな記憶のまま封印したから、出した時も鮮やかだったんだろうか。
とまあ、今は落ち着いて書けてますけど、思い出した時は軽いパニック状態になりましたよ。涙がボロボロ出た。
思い出して良かったという気持ち、思い出さなければ良かったという気持ち、
お兄さんの死を悲しむ気持ち、お兄さんを憎む気持ち、郷愁と懐かしさ、後悔、恐怖、
色んな感情が溢れ出して来て、1時間以上も大声で泣いてしまった。
6歳の時の俺と、今の俺の感情がリンクしてしまったのかなあ、なんて。
53 :本当にあった怖い名無し :2005/11/05(土) 18:11:17 ID:FDe9EqMh0
それで、昨日のことなんですが、母にね、全部話しました。
一応前置きとして、ショックだったけど耐えられたこと、気を使ってくれて感謝してること、
あと、あのおんぶしてもらってた幼少時代、ほんとうに幸せだったこと、などなど。
母は静かに嗚咽を漏らしてました。「あれはね、誰も悪くないのよ」と。
母が言うには、お兄さんが自殺して俺がおかしくなってしまって、
それを知ったお兄さんの両親が、毎日うちに土下座して謝りに来たらしいです。
俺がおばあちゃんの家に引き取られてからも、それはしばらく続いたらしくて。
「だから思い出しても○○さんを恨んじゃだめよ」と母は言った。
それから色々話したんですけどね、割愛します。昨日10年ぶりに母の肩を揉みました。
以上です。
霊の話じゃなくてすんません。
オカルトと言うより心理学や精神世界の話かも知れないんですが、
25年間も記憶が飛んでたっていうのが自分的にはオカルトかなあ、なんて。
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