◇ 心霊ちょっといい話VER.7 ◇
923 :本当にあった怖い名無し:2005/07/06(水) 19:23:14 ID:t1/vQKlq0
幼稚園に入るちょっと前ぐらいか?
子供の頃に、毎日のように一緒に遊んでくれた不思議な動物がいた。
大きさは、自分よりも大きかったから、犬のゴールデンレトリバーぐらいだと思う。
がっしりとした体で足が太く、体は真っ白で毛が長く、目は濃い水色で透き通ってた。
今でもハッキリと覚えてるのは、尻尾が5本あった事と、両目の間から山吹色の短い角みたいなのが一本生えていた事。
俺はその動物を『ワンタ』と呼んでいた。
俺が好きだったグレープジュースを一緒に飲んだり、
白い柔らかなせんべいみたいなお菓子を、分け合って食べたりしてた。
よく俺がワンタと一緒に遊んでいると、おふくろは一度だけワンタを見た事があるからなのかな、
ジュースを2つ用意してくれたのを覚えてる。
ただ、親父にはワンタは見えないらしく、勝手にワンタのジュースを片づけてしまったりして、よく俺が泣いていた。
ワンタは中学校に入るちょっと前ぐらいに、
『もうお前と遊ぶことができなくなってしまうなぁ。でも、いつもここにいるからな』
みたいな事を言われて以来、ワンタと会えなくなった。
中学校1年の中頃まで毎日のように庭に出たけど、あの日以来ワンタの姿を見る事はできなかった。
924 :本当にあった怖い名無し:2005/07/06(水) 19:26:34 ID:t1/vQKlq0
どうして突然こんな事を書こうと思ったかと言うと、実は俺、ちょっと前まで膵炎で入院してたんだ。
痛いし何も飲み食いできないしでえらい苦しかったんだけど、ある夜、夢にワンタが出てきたんだ。
俺がベッドで横になっていると、俺の足下にワンタが座ってた。
「ああ、久しぶりだなぁ……」と俺が言うと、
ワンタは心配そうな顔つきでじっと俺の顔を見つめると、突然ガウッと吠えて俺の胸に食らいついた。
痛みはなく、ワンタが何かをしてくれているという事を感じたので、しばらく胸元に食らいついている姿を見ていると、
やがて顔をあげたワンタの口に何かがぶら下がっていた。
黒いゲジゲジのような虫のようで、それは空気に解けるようにして消えてしまった。
『もう大丈夫だな』
ワンタがそう言った所で目が覚めた。
翌日、目が覚めると体が軽く、その夢を見た日を境に俺の体調は、医者も驚くほどの早さで一気に好転していった。
子供の頃に毎日のように一緒に遊んでくれた不思議な動物がいた。
俺の子供の頃の記憶から飛び出したワンタは、俺を救ってくれた。
おそらく、何となくだけど、もう生きている間には二度とワンタと会えないような気がする。
庭に向かってお礼を言っても、それが伝わっているか、今の俺には分からない。
だから、このスレに書かせてほしいんだ。
ワンタ、助けてくれてありがとう。
たまに、庭にグレープジュースを置いておくから飲んでな。
925 :本当にあった怖い名無し:2005/07/06(水) 19:35:35 ID:oPLkjy4h0
>>924
いい話じゃねーかつωT`)
文才あるな>924。
ワンタって、>924にとってどんな位置付けの存在なんだろう?
守り神や亡くなった親戚の変化とか、昔家族の誰かが飼っていた犬だとか
思い当たる節はないの?
929 :923:2005/07/06(水) 21:22:22 ID:t1/vQKlq0
>>925
それが思い当たる節と言えば、俺の家系が全員動物好きって事ぐらいなんだ。
あと、すでに他界してるじいちゃんが、庭に壊れかけた祠を持ってきて建て直した事ぐらい。
うちで飼う動物が全て長寿……は関係ないか。
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