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『見えないお友達』

※この話を読むと、呪われるといわれています。


死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?278

119 :ひつまぶし 1/9:2011/08/30(火) 02:14:38.18 ID:U1+NPuJS0
普通の精神疾患は脳の内分泌異常が原因なので、現代の精神医学は薬物療法が主流なのね。
(認知行動療法もまあまあエビデンスがあって使われてるけど)
でも、薬物療法が効かなかったり、西洋医学不信がある一部の患者が、
『心理療法家』みたいなのを頼ったりする。

で、私の知り合いに副業でそうした『心理療法家』をしている人がいるのだが、
この人がいわゆるユング派の療法家なのです。
ユング派の人はオカルトがかってるのが普通らしくて、この療法家のKさんが十数年前に体験した話なんだそうだが、
ちょっと興味深い話を聞かせてもらったので。


121 :ひつまぶし 2/9:2011/08/30(火) 02:16:45.80 ID:U1+NPuJS0
あるとき、KさんのところにSさんという女性が相談に訪れた。
Sさんは、小学校低学年のころに母親が再婚したのだが、
その義父が程なくしてSさんを性的に虐待するようになったそうだ。
そして、Sさんは義父の性暴力の恐怖から逃れるためにか、家にいるときには空想にふけりがちというか、
幼稚園児くらいの小さな女の子によくいるように、見えないお友達と仲良くするようになったらしい。
義父が来るのが夜だったので夜の恐怖を紛らわすためか、
寝る前に『ボ○○』という名前の竜が寝室にやってきて、寝るまでお話をするんだそうだが、
その見えないお友達は、童話の『エルマーとりゅう』に出てくるような姿形をした竜で、
本人にはそれが空想だという自覚はあるんだが、凄いリアルにまさにそこにいるのが見えるのだったそうだ。


122 :ひつまぶし 3/9:2011/08/30(火) 02:18:48.21 ID:U1+NPuJS0
で、理由は知らんが、彼女が高校に入る頃に義父が飛び込み自殺をした。
Sさんも義父から解放されて、全部を忘れて新しい人生が開けるんだと思ったそうだ。
見えないお友達のボ○○も(それが虐待からの現実逃避の産物だという自覚はSさんにもあったので)、
いなくなるんだと思った。

ところが、ボ○○はいなくならなかった。
義父の自殺によるゴタゴタが片付いた日の夜、ボ○○は寝室に現れて、
「ボクがアイツを喰ってやったんだよ」と言ったそうだ。
訪問頻度はぐっと減ったものの、ボ○○は夜になると時折やってきた。
Sさんも、義父が死んで解放されてからだいぶ明るくなり、
思春期だということもあって、高校の同級生とかにときめくことがあった。
だが、日中に何かそういうことがあると、その晩にはボ○○がやってくる。
で、「君に近づく奴はみんな喰ってやる!」というんだと。
しかも、何回目か以降には、ボ○○が(嫉妬なのか?)怒り狂って、
彼女を爪やなんかで傷つけるようになったそうだ。
ボ○○との会話は夢現でのことらしく、
しかし朝起きると、身体のまさにボ○○にやられたところに、なぜだかひどい引っかき傷(時には裂傷)がある。
彼女はそのことにひどく怯えたのだが、しばらくするとそういうこともなくなった。


126 :ひつまぶし 4/9:2011/08/30(火) 02:21:10.04 ID:U1+NPuJS0
ボ○○の記憶が生々しかった高校中はデートもしなかったそうだが、(おかげで勉強に集中できたということなのか)
彼女はいい大学に進学した。
ボ○○の記憶も薄れて、彼氏もできた。
大学卒業を期にその彼氏と結婚して専業主婦になり、子供を息子と娘との2人産んだ。

ところが、30代半ばを過ぎた頃(つまりSさんが療法家のKさんに相談に来た頃)に、
旦那さんが飛び込み自殺をした。
そして、旦那さんの葬儀などを終えたその日の晩に、十数年ぶりにボ○○が現れた。
「ボクがアイツを喰ってやったんだよ」といったそうだ。
そして、また毎日ボ○○が寝室にやってくるようになった。
Sさんは久しぶりのボ○○に忘れかけていた昔を思い出させられたせいか、非常な嫌悪を覚え、
「二度と来ないで!」とボ○○に対して言った。
するとボ○○は、Sさんの不実(?)をなじり、毎日彼女を責め立てるようになった。
夫の自殺と相俟ってSさんは自殺を考え、ボ○○はそれを「いい考えだね!」と嬉しそうにいう。
そして、焦燥していくSさんを見かねた(ボ○○についてはなにも知らない)知人がKさんを紹介した。


127 :ひつまぶし 5/9:2011/08/30(火) 02:23:19.11 ID:U1+NPuJS0
Kさんはユング派の療法家で、西洋オカルティストが身近にいる人。
KさんはSさんの話を聞いたときに、「あ、これはあのテリトリーの話だわ」という直感が働き、
知り合いのMさんという人に連絡をとったそうだ。
そのMさんは、いまの西洋オカルティズムでは主流ではないドイツ・オーストリア系の流派の人なんだと。
経緯は普通ではないが、こういう憑依の事例とエクソシズムの相談は人づてにたまにあるらしくて、
Mさんも「まあやってみましょう」と引き受けた。
Kさんも流派は違うがオカルティズムには足を突っ込んでおり、興味があったのでお願いしたところ、
やや渋られながらもエクソシズムの現場(Mさんが自宅と別に借りているマンションの一室)に立会を許されたそうだ。

なんというか、道具立ては凄いクラシカルだったそうで、
魔法円を書いて(つっても記号とかはなにもなくて単に床に円が書いてあるだけらしいが)、
MさんとKさんはその中に入り、魔法円の外側にSさんを椅子に座らせて、
本人の承諾を得て身体を縛り付け、黒い鏡をSさんの側においたんだそうだ。
(その鏡にボ○○が映るということらしい)


128 :ひつまぶし 6/9:2011/08/30(火) 02:25:23.01 ID:U1+NPuJS0
で、詳しくは知らないが、ボ○○を呼び出して、
できれば説得し、無理なら追放しようとしたらしい。
この儀式はある意味ではもの凄く成功した。
三人とも凄まじいラップ音を聞き、ものの焦げる匂いと硫黄の臭いを嗅いだ。
鏡に映ったボ○○とMさんが対話するのだそうだが、(ボ○○の言葉はMさんにしか聞こえない)
ボ○○は、まず説得しようとしそれがダメだとなって脅しにかかったMさんを嘲弄したらしい。
で、その部屋になぜか霧らしきものが出てきたのか空気が霞み始めたんだそうだ。
円の外側でその霧がどうも竜らしき形を取るに及んで、MさんもKさんも「これはマズい!」と思ったそうだ。

結局そこで、Mさんはボ○○の呼び出しを中断し、
Sさんから追放はできないまでも、少なくともその儀式の場から退去させようとした。
そうしたら霧は渦を巻いてSさんの中に入ってしまい、しかしラップ音とかそういう現象はピタリと止んだ。
エクソシズムは失敗したが、とりあえず儀式自体は終えても安全だろうということになって、
そこでお終いにしたらしい。


130 :ひつまぶし 7/9:2011/08/30(火) 02:27:34.16 ID:U1+NPuJS0
「これは結構大変な代物なんじゃないか」という話になって、
Mさんの手には負えないか、いずれにせよもうちょっと本格的な儀式の準備をしないといけないだろう、
ということになった。

ところが、その儀式以降が問題だった。
ボ○○は数日の間は鳴りを潜めていたのだが、Sさんのもとに、追い払おうとしたことについて怒り狂って訪れた。
朝起きると、Sさんの身体が傷と出血で血塗れになっているという有様だったそうだ。
Kさんはなんともなかったそうだが、Mさんは一週間もたたないうちに数回車に轢かれかかったり、
ほかにも危険な目にあった。
Mさんは「ああこれはボ○○のせいだな」と判断したそうだが、いかんせん自分では追放できるか心もとなく、
スイスにいる自分の師匠に国際電話で相談したそうだ。
そうしたらすぐに、Mさんのもとにお師匠からかなり深刻な様子で電話がかかってきた。
Mさんの師匠は、Mさんの被ってる災難がかなり大掛かりで特殊なものだ、と判断したらしい。
そして、ボ○○が竜であること、その出現がセックス絡みであること、義父と夫の自殺、交通事故の危険、
などを考え合わせた結果、ボ○○がいわゆる死霊の類ではなくて、火星の惑星霊なのではないか、と指摘した。


131 :ひつまぶし 8/9:2011/08/30(火) 02:29:37.74 ID:U1+NPuJS0
で、どうもこれがドンピシャだったらしい。
自分でも色々調べて指摘に納得したMさんは、火星の惑星霊を追放する儀式を執り行うべく、準備と下調べをしたそうだ。
そうしたら、ある魔術書に『善い火星霊(ただし善霊でも超危険なので呼び出すな!)』として、
まさに『ボ○○』という名前が載っていたという。
Mさんは深く得心がいったそうだが(というのもボ○○はそもそもSさんを護るために現れたのだから)、
未熟者が迂闊に呼び出すことを防止するためとして、そのシジルはその魔術書には掲載されていなかったのだそうだ。
シジルがなくても、ボ○○が火星霊だということさえわかっていれば、効果的な追放儀式ができるので、
Mさんは直ちにKさんとSさんとに連絡をとり、ボ○○が強大な善霊だということを踏まえつつ適切な儀式を行い、
穏便にお引取りを願うことができた。(今回はKさんは立会を許されなかったそうだ)

その後、Sさんは心理的にはすっかり回復し、療法家のKさんとしては一件落着ということになった。


132 :ひつまぶし 9/9:2011/08/30(火) 02:31:44.14 ID:U1+NPuJS0
Mさんはことの次第を手紙で師匠に連絡した。
師匠も返事をくれて、それによると、
そのレベルの強大な火星霊はそのように強力に実体化しているなら、
場所を移して引越はしてもらえるかもしれないが、追放することはできない、ということだったそうだ。

果たせるかな、Mさんがオカルト作業用に借りていたマンションの周辺地域では、
交通事故や傷害事件がやたらと頻繁に起きるようになったそうで、
(もともと周辺地域の治安が良くはなく、お陰で家賃が安いということで借りていたそうだが)
最後には当のマンションで殺人未遂事件が起こるに及んで、
Mさんは「Sさんから離れて野放しになったボラムがその辺りをほっつきまわってるってことかなあ」といって、
そのマンションの部屋を引き払ったとか。

まあこの話自体はだいぶ前の東京での話なわけだが、
ボ○○は野良精霊なので、もし『ボ○○』の名前と姿がわかっていると、
迂闊に思い浮かべて意識的に呼んじゃったりして、この話を読んだ人のところにやってきちゃうかも、
ということだったので伏字にしました。


133 :本当にあった怖い名無し:2011/08/30(火) 02:34:03.28 ID:I9dzXTG90
おい一部伏せてないのはわざとなのか


134 :本当にあった怖い名無し:2011/08/30(火) 02:34:52.94 ID:d/s57HuO0
>>132
言っちゃってるけど、ワザとなの?


137 :ひつまぶし 9/9:2011/08/30(火) 02:37:35.26 ID:U1+NPuJS0
>>133, 134
………盛大にミスった(汗
最初そのまま書いてたのを一括置換したんだが、
その後に書き直した部分が直せてなかった……名前は忘れておくれ(汗


140 :本当にあった怖い名無し:2011/08/30(火) 02:47:10.24 ID:SnQ0/NNg0
ううむ近代西洋魔術とか古書の有名どころには見当たらないな
惑星霊の火星霊のシジルってあたりから、七惑星の護符があるソロモンの大いなる鍵に乗ってるのかと思ったが、
ちがったか


141 :ひつまぶし:2011/08/30(火) 02:52:00.15 ID:U1+NPuJS0
>>140
実はどの魔術書かは聞いて知ってるのだが伏せとく。
ややマイナーだけどきちんと探せば案外すぐ見つかるよ。


143 :本当にあった怖い名無し:2011/08/30(火) 03:36:30.00 ID:WQAsui6L0
韓国タレントのボラムって女性のCDに「火星から来た男」ってのがあるんだが。


145 :ひつまぶし:2011/08/30(火) 03:43:36.20 ID:U1+NPuJS0
>>143
単なる偶然の一致だと思うよ。
当の名前が出てくる当の魔術書は昔のものだし、比較的マイナーだし、
更にそのネタ元を遡れば中世のグリモワールだから。

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