他の歴史世界から来たと自称する男に会いました
1 :オーバーテクナナシー:2008/07/28(月) 18:04:31 ID:cVuHLxIV
私は、他の歴史世界から来たと自称する男に会いました。
作り事のように思えるでしょうが、少なくともその男に会ったのは事実なのです。
彼の話を聞いていると、まるで現実の出来事が幻のように思えてなりません。
一体、彼の話は本当なのでしょうか?
もしそうだとすると、テロだ不況だと騒いでいる私達は、とてつも無く幸運な存在なのでしょうか。
私の他に、これと似た話を聞いた事がある人は居ますでしょうか。
2 :オーバーテクナナシー:2008/07/28(月) 18:05:33 ID:cVuHLxIV
私が札幌にある行きつけのバーで会ったその人は、私と同じくそのバーの常連らしく、
バーテンも「変人がいるんだ」と紹介してくれました。
彼は酒を飲む前は礼儀正しく、妙に古風な30代とおぼしき男性で、
また、物を大事に扱う様子が見て取れました。
しかし奇妙な事に酒が廻りはじめると、隣で飲んでいる人達に、
「自分は他の世界から来たんだ。
お前等は不況だ戦争だと言いながら、実は一番良い境遇にあるんだ。
それに気付かないのも幸せな事なんだぞ」
と、訳の分からない事を言いふらすのです。
興味を惹いた私はある日、買ったばかりのICレコーダーを持って、思いきって彼に話し掛ける事にしました。
彼は小樽港で働いていると言いました。
ロシア語が堪能なので、主にロシア船の貨物受け渡しの管理事務をやっているとの事でした。
札幌へは、彼が仕事上よくしてくれている貿易商社への挨拶廻りで、度々来ていると言いました。
以下、彼の話を要約した抜粋です。
「何、私がどこの世界から来たって教えて欲しい?
そりゃ決まっているだろう、この地球じゃ無い地球からさ。
宇宙の果てじゃ無い、紛れも無い地球なんだが、歴史からして違うんだ」
3 :オーバーテクナナシー:2008/07/28(月) 18:07:47 ID:cVuHLxIV
「つまり、多分歴史のどこかの時点が狂っちまったために、ここの世界と違う展開をしてるんだろう。
でも紛れも無い現実なんだ、事実なんだ。
私は今から5年前の夏にこっちへ来たんだ。乗っていた船が撃沈されてな。
それで、こっちに着いてから随分苦労したが、
前にいた世界ではロシア語が必修だったんで、何とか良い仕事につく事が出来た。
私はあの世界じゃ秀才で通してたんだよ。
また、歴史通でもならしたもんだが、
それにしても私の知識は、おそらく洗脳された後に植え付けられたものだから客観的では無いし、
あの世界の本質を知る当てにはなるまいと前置きしておこう。
私は、この札幌の人間でなくて、もともと秋田の大館が出身で、中等学校までそこに居たんだが、
若労奨励とかで、釜石の銅鉱山で岩石採掘の助手をして、
それから、18才になって兵役を4年ばかりしたんだ。
何処の国の話だろうと思うだろう?日本での話だよ。ただしあちらの日本だけどな。
正確には日本人民共和国だが」
4 :オーバーテクナナシー:2008/07/28(月) 18:41:54 ID:cVuHLxIV
「この世界の、この日本じゃ兵役がないなんて信じられないな。
まあ、どおりでガタイの良い若者が居ない訳だが。萎びた青物みたいな連中ばかりじゃないか?
ただ、着てるモノや食い物はみんな上等なものばかりだよな。
私も最近働くようになってから、色々買ったり食ったりしてるよ。
特にこの街のラーメンは最高だな。
向こうじゃラーメンなんて、食べるどころか聞いた事もなかったからな。
それにヨーロッパ製の、ロシアやドイツ製じゃなくて、
フランスやイギリス製の背広や外套を日本で買えるなんて信じられないよ。
経済はちゃんとしてるし、特権階級も居ないし、市場に行けばモノに溢れてるし、
日本はこんな底力があったとはなあ。
それにびっくりしたのがアメリカだよ。
英語、だったか、あんなへんぴな国の言葉をみんな好んで使いたがるんだからな。
なのにこっちじゃ超大国なんだな。本当にびっくりしたよ。
なんで私のいた世界とこちらの世界じゃこんなに違うんだろうって、
この世界に来てからずっと考えてたんだよ。
歴史通の名が廃るしな、だからこちらの歴史書とかを貪るように読んだね。
最近になってようやく、どこで違いが出てきたか分かってきたよ・・・」
9 :シンクロニシティ:2008/07/28(月) 23:52:05 ID:rpSBQz0p
今は音信不通だが、>>1のような話を聞いたことがあるよ。
那須という人だったが、彼は4度も繰り返し時間を繰り返しているというんだ。
そんなこんなで、精神的に記憶では1000年以上生きていることになると。(実際は30歳前後ぐらい)
とある曰くつきの館へ不法侵入した時に不思議な体験をして、それ以降ずっと繰り返していると。
ただ私に会ったのは、繰り返している時間帯では4度目らしい。
繰り返していると言っても、出来事なんかは若干の差があるという。
必ず起こるということはありえないらしく、ある程度は予測はできるが確定要素ではないらしい。
私は懐古主義でミニ四駆をつついていたのだが、
彼は一回目に会った時は、私からモーターを奪い取って池に投げて完成させなかったという。
2・3回目に、彼は同じ行動をしなければ生きていけないと判断したらしく、
同様にモーターを池に投げ込んだらしい。
だが私が4回目で阻止したので、自分の行動と未来が変わってしまったと嘆いていた。
未来が変わってしまうので先が予想できなくなり不安だからだとか。
ただこういうことはよくあるという話だった。
彼の予言は必ずと言っていいほど当たっていた。
なるべく同じ行動をするのだと。
その後彼と離れてしまったが、今はどうしているか不安だ。
教えてもらった電話番号にたびたびかけてはいるが音沙汰が無い。
彼曰く、2004年の8月に歴史は終わると言っていた。
だが、私が生きている彼が言う4回目の世界じゃ今や2008年だ。
パラレルワールドは存在するんだなと私は確信している。
シンクロニシティの塊である未来の行先も、
だいたいはある一定の方向に進んでいて、ほとんどパラレルワールドに差が無いはずなのだが、
大きく歴史が異なるという話は初めてきいたよ。
>>1よ。都市伝説ではないかもしれないが、確かにこいつは本物だな、という人はいる。
13 :オーバーテクナナシー:2008/07/30(水) 02:32:42 ID:BXYBH4xc
1です。続きを記します。
「さっき、こっちの若者が萎びた青物みたいだとは言ったが、
元いた世界では、階級によっては萎びたどころじゃあない、
触れただけで折れそうなまでに餓えた人達が居たな。
こっちじゃあホームレスだとかいうけれど、向こうに比べたらみんなブヨブヨと太って養豚みたいだ。
まあ兵役を受ければ、みんな基本的には平等に飯を食わしてくれるし、体も鍛えられるしな。
だけど、上官のシゴキはどこでも半端じゃあ無かった。
もう飢えで死ぬか、シゴキで死ぬかのどっちかを選べと言われても選べないものだがな。
まあ私がいた第三機械化部隊は、最前線に当たる為か、比較的に上官の腐敗は少ないんだが、
それでも、兵士を早く一人前にする為のシゴキは凄まじかった。
でもあの当時の上官、諏訪少尉には今でも感謝してるよ。
ああいう社会での世渡りの仕方をちゃんと教えてくれたのも、酒の呑み方も、
地下組織への道を通じさせてくれたのも、少尉からだったなあ。
本当にああいう人に出会えるのは幸運な事だった」
14 :オーバーテクナナシー:2008/07/30(水) 02:34:09 ID:BXYBH4xc
「歴史通になれたのも、兵役に入った時の同期に色々と教えてもらったからなんだ。
袴田という奴なんだが、やたらと歴史上の戦史やら兵法やらに詳しくてなあ、
源平合戦の壇ノ浦だとか信長が率いた桶狭間の合戦とかを、まるで本人が見ていたように語るんだな。
それで私も、今まで中等学校で全然歴史に興味も無かったし、成績も良くなかったのに、
奴の話にみるみる引き込まれていってな。
それに、まあ学校じゃあマルクスだの闘争史だのしか教えられてないから、
初めて歴史を客観的に知るという事が出来たんだ。
奴の実家じゃあ、大戦前の教科書だの新聞だのが倉にぎっしり詰まっていたらしく、
何でも奴の祖父だかが大戦前に印刷会社で働いていたそうで、奴もその祖父の影響をかなり受けていたようだ。
だが、ドイツ軍との戦闘で死んじまってな。
装甲輸送車に乗っていて、連中の対戦車砲をもろに食らったんだ。
奴の死のいまわに、その倉の事を聞いてな、
奴は倉の中の書物は秘密にしてくれるなら全部くれてやると言ってくれたんだ。
兵役の後だったか、奴の実家に弔問に訪れて、奴の親父さんにその事を話したら、
親父さんは黙って倉の鍵を渡してくれたよ。
よっぽど奴は、家族に大事にしてもらえてたんだなあ。
私は農場で働くようになってからも時々その倉に行って、書物をそこで読んで色々と勉強したんだよ」
15 :オーバーテクナナシー:2008/07/30(水) 02:36:00 ID:BXYBH4xc
「あの頃は私の妻と出会ったばかりだったので、二人の生活を安定させる為に色々と無茶をしてまで働いていた。
昼も夜も働いていたっけな。
だけど知識欲というのは止めどないもので、だんだん夜も寝る間を惜しんで勉強するようになって、
妻とよく喧嘩をしたもんだ。
だけどそれが功を奏して、グスコーブドリ、地下組織の名前だが、
そこでちょっとした立場になって、色々とそこでも働くようになった。
私が此処に来る遠因もそこにあったんだよな。
妻とは農場で知り合ったんだが、私とは2歳上で、器量も頭も良くて優しい、私にはもったいない人だ。
管理舎で肥料調達の担当をしていて、農場内で五指に入る美人だったんだ。
だけど村祭りで強引に告白して、付き合う事に成功したんだ。
後で聞いたら、今まで誰も告白なんかしてくれなかったそうだ。ひょっとしたら恋は盲目って奴かもな。
まあそんなわけで、子供も二人生まれたしな。
だけど飢えだけはどうにもならなかった。
家族は、いやどこの村でもみんなひもじい思いをしていた。
最近じゃ肥料にやたらと放射能が混じるようになって、
日照量がえらく少なくなり、旱魃がひどくなって、作物が全然育たなくなったし、
みんなの我慢は限界に達していたんだよ」
「『他の歴史世界から来たと自称する男に会いました』2/3」に続く
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『んーーーー』