「『偶然』1/2」の続き
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?211
437 :偶然8:2009/05/04(月) 15:55:16 ID:a4hgF4Zj0
静まりかえった暗い小屋。俺は空気を変えようと、とりあえずタバコに火をつけた。
その火の明りで一瞬、正面に座るAの顔が見えた。
Aは小屋の外に何かを見つけたような、ハッとした顔をしていた。
俺「おいA!もう怖がらせんでいいて。止めろ。外見てビビらせようとすんな」
A「う、うん。別に何も見えてねぇし(笑)」
見えてないって何だよ・・・
もう誰も喋らない。喋れない。時刻は午前2時を回る。
俺はAの話が恐すぎてずっと引きづっていた。ただでさえ小心者なのに・・・話しがリアる過ぎて怖かった。
小屋にはもう居たくなかった。外にも出たくなかった。もう帰りたい。
俺は変なもん見ないようにと、目を閉じて考えないようにしてた……
俺はいつの間にか眠っていた。
438 :偶然9:2009/05/04(月) 15:56:08 ID:a4hgF4Zj0
・・・キ
パキ・・バキバキ・・
変な音が聞こえる・・・
怖くて敏感になっていた俺は、すぐに目が覚めた。
バキ…
外から聞こえる。木の枝が折れてるような音。
背筋がゾクーっとした俺は、横にいるBを起こした。
俺「おいちゃ!起きれ!」
B「…何よ?、もう」
俺「おい!外からバキバキ聞こえるて。起きろ」
B「もう…びびり過ぎ。何も聞こえんや…ん」
バキ
B「!? おい、・・・今何の音?ちょいヤバイて!今の何の音よ?」
俺「分からんけど、木が折れる音じゃね?」
439 :偶然10:2009/05/04(月) 16:01:20 ID:a4hgF4Zj0
二人のやり取りにDも目が覚めていた。
D「…ちょい待て!お前ら喋んな!黙れ!」
バキバキ…
確かに音が聞こえる。静まりかえった山では、響くように…
俺の膝ガクガク。とりあえず一服して気を落ち着かせる。
その時、ある事に気づいてしまったが、あえて言わなかった。
何か怖くなったからだ。
B「ヤバイ!逃げるぞ」
D「ソッコー!逃げよ」
B「AとC起こして!」
D「え!?あっ?」
B「は?おらんやん!何処行った!?」
そう、AとCがいない事に気づいたんだ。
俺「…あいつらの仕業?」
D「何で!?何の為よ」
とりあえず俺らは外へ出て、絶景スポットがある広い原っぱまで突っ走って逃げた。
俺「とりあえず、AとCどうするん?」
D「待っとこう」
俺らは一服しながら待った。
440 :偶然11:2009/05/04(月) 16:02:23 ID:a4hgF4Zj0
20分後…向こうから誰か来た。Cだ。
俺「何処行ってたん!?」
C「う、うん…小便。小屋に戻ったら誰もおらんかったから…捜したわ」
B「おいC!Aは?」
C「一緒に小便してたよ」
D「っつかバキバキ聞こえたやろ?」
C「イヤ・・・聞いてない」
B「どんだけよお前。でAは?」
C「…」
B「?イヤ、Aは?って・・?」
C「・・・ん?」
D「は?Aじゃボケ!ふざけんな」
C「…知らん」
B「あ?意味分からんて、何処やAは?」
D「お前Aと小便しよったんやろうが」
C「…」
D「お前Aと小便しよったて言ったろうが」
C「…言ってない」
B「え?ウザイよ。オメー言ったろう?」
C「あ、あぁ…Aね、あいつは先に小屋に戻るって言ってたよ」
様子が変。何だCの意味不明な発言は?
ともかく俺らは、二人づつに別れてAを捜すハメになった。時刻は午前4時を回る。
俺「あのガキャ!マヂいらいらするわ!何処おるんや。気味悪りぃのに…」
C「…」
俺「っつかお前、何か知っとんかよ」
C「…知らんて」
俺「何?お前…喧嘩売っとん?」
442 :偶然12:2009/05/04(月) 16:03:20 ID:a4hgF4Zj0
C「…」
俺「あっ!分かった!ドッキリやろ?もう。ウゼー…ビビらせようとしとんやろ」
C「…ごめん。あのさ…実はさ、俺さ、Aと小便してないんよね」
俺「は?どういう事?ちょ止めてや…怖いし。キレるよ?」
C「…ごめん、全部話すわ…」
Cは話しだした。
実は小屋の中で皆眠ってた時、Aが小屋の外に出て行くのを見たらしい。
Cは気になって、Aの後をついていった。
Aはボロボロの鳥居をくぐり、神社の前ですぐに止まった。
すると神社前でAは何か、誰かに話しかけるように手を合わせて喋っていたらしい。ニヤニヤと笑いながら…
次にAは、神社の横にある木の枝を折りだした。
手頃な棒を捜すように…折っては捨て折っては捨て。
調度いい長さの棒きれになったのだろうか…
Aは折るのを止め、次にポケットから数枚の紙切れをだし、棒に貼付けていった。
443 :偶然13:2009/05/04(月) 16:04:16 ID:a4hgF4Zj0
次の瞬間…Aが振り向き、
「?!」
Cに向かって走ってきた。
Cは怖くて動けなかったらしい。
A「ぉぃ!おい!おい!見た?…(笑)」
C「…」
A「…お前、俺が今日何であの話ししたか分かる?(笑)」
C「…何が?」
A「お前知っとろう?」
C「知らん…」
A「お前分かっとろう?」
C「・・・知らんて!!」
A「まぁいいわ。言うなよ(笑)あ、皆に俺の事ごまかしとけよ。そうすりゃお前は見逃しちゃるけ」
C「俺は!?」
A「そう(笑)」
そういうと、Aは山を降りて行ったらしい。
それを聞いて俺はゾクッとした。
ってか、Aは普段そんな事言う奴じゃないし、そもそも「知ってる?」て何をだよ。
Cに聞いても分からないの一点張り。Cは嘘ついてるんだろうか?でも、何故?
444 :偶然14:2009/05/04(月) 16:05:32 ID:a4hgF4Zj0
ともかくB、Dと合流し俺は、この事をBとDにも話した。
ハッキリ言って、バカバカしい話しだ。でもAは何処にもいない。もう泣きたかった。
もちろんCを問い詰めたが、嘘をついてるようにも見えない。 確かにAの荷物もなかった。
明け方、とりあえず俺らは下山し、その足でAの家へ向かった。
俺、B、Dはキレ気味。Cは若干震えていた。
A家に着いたが誰もでない。自己中野郎は寝てんだろうと、キレ気味なまま俺らは家に帰った。
翌日、午前10時頃、俺ん家の電話が鳴った。Bからだ。
B『…ねぇどうしよう…』
俺「何が?」
B『イヤAのこと』
俺「あぁ…後でAんとこ行こうや」
B『イヤ違うんよ…お前ん家、警察から電話あった?』
俺「何で警察なん?何なんよ?意味不明やん」
B『Aの事で…』
俺「だけんAがどしたんかちゃ!何よ?はよ言えや」
445 :偶然15:2009/05/04(月) 16:06:34 ID:a4hgF4Zj0
B『Aが死んだ。昨日、自宅で首吊ってたって…』
そう聞かされた。俺は吐き気がした。
ってか、何でAが死ぬ?意味が分からなかった。嘘か?
イヤ、嘘をつく必要がない?俺の頭は混乱していた。
その後、俺の家にも警察から電話があり、俺らは事情聴取を受けたが、
遺書も発見されたため、自殺という事になった。
警察「一応遺書も見つかって自殺って事なんだが、原因とか知らんか」
俺「…原因って?…そんなん分からんです僕にも…」
警察「A君に何か変わったこととかなかった?」
俺「…分からんですょ…あ、遺書。遺書には何て書いてたんですか?」
警察「ん~遺書ね。そばに木の棒が落ちてて、紙が貼付けてあったんだよな」
俺「棒?」
警察「そう。おかしいんよな。その棒に、遺書らしき札のような紙キレが貼付けられてた」
俺「……で紙には何て?」
警察「う~ん、こういうのは言えないんだよ」
そんなやり取りを終え、俺は家に帰された。
446 :偶然16:2009/05/04(月) 16:09:32 ID:a4hgF4Zj0
そして俺は、遺書の事を後で知ることになった。
これはDから聞いたので、本当かどうかは分からないが、
その紙にはCの名前がぎっしりと書かれ、最後の行は『駆除…皆ごめん』で閉めくくられており、
また、Aの顔は変形し、グチャグチャに歪んでいたらしい。
Cの名前だけ?違和感を持った俺らは、Cが何か知っているに違いないとCを問い詰め、話を聞いた。
そして俺たちは、AとCだけが知る秘密を知ることに・・・。
Aは両親の離婚で引っ越してきたと俺らは聞かされていたが、実は違っていた。
Aの母は亡くなっていたらしく、理由はよく分からないが、霊園池のほとりにある桜の木で首を吊っていたとか。
その第一発見者がAとCだった。
AとCは幼馴染で仲がよく、たまたま釣りに行った霊園池で見てしまった。
発狂したAの母親が首を吊る一連の行為を・・・。
Cはあまりに突然の事で傍観するだけで、隣にいたAは発狂したかのように突然笑い出し叫びだしたという。
それから数日後、Aは学校に来なくなり、Cもトラウマになっていたらしく、
Cは胸に抱える不安を取り除くように、何故かもう一度一人でその霊園池に行った。
その時見た光景・・・Aが一人、木に話しかけ、狂ったように叫びだし笑っていたという。
その光景が目に焼きついたCは軽い精神病にかかり、引きこもりになったが、
Cの両親がその出来事を察知してか、Cは俺らの地区に引っ越してきたらしい。
447 :偶然17:2009/05/04(月) 16:10:36 ID:a4hgF4Zj0
そんな話を聞いた俺らは、本当に後悔した。
俺はAが大好きだった。すごくイイやつで、ひょうきん者だった。
そんなAの事を一つも分かっていなかったばかりか、助けてもやれなかったからだ。
そんな事件があった数カ月後、
俺らは中学を卒業し、俺とBは隣町の高校へ、DはY区の高校へ通っていた。
448 :偶然18:2009/05/04(月) 16:12:27 ID:a4hgF4Zj0
Cは……Cは…もういない。
同年五月六日、自宅のマンションから飛び降りた。
原因は分からない。
450 :偶然 終:2009/05/04(月) 16:21:05 ID:jE5xO4o10
意味分からないですよね。俺も分からないです。
Aが何故、怖い話であの話を持出したのかも分からないです。全て実話です。
これは決して幽霊がどうたらって話しじゃないんです。そんなじゃないんです。
全て偶然。たまたま起った事です。偶然です。AもAの叔父もCも。偶然です。
彼らの命日が誕生日である事も。
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