不可解な体験、謎な話~enigma~ Part44
597 :1/14:2008/06/01(日) 00:53:27 ID:LX+5VDXB0
俺にも信じられない話なので、この話を信じてくれとは言わん。
別なところでもこの話をしたことがあるので、もし知っている奴がいたら重複スマソ。
俺が小3くらいまで、熱出した時に必ず見る夢があった。
蔦が壁一面にビッシリと張り付いた洋館の前に、ガキの俺がいる。
周りはなぜか霧が出ている。
その洋館の玄関を開けるところで、夢はいつも終わる。
ここで話は、俺が大学生の時になる。
俺はテレビ制作会社で、ADというか雑用のバイトをやっていた。
田舎の大学に行っていたので、極めてローカルなTV番組を作る会社だった。
ある番組の中で、県内の不思議な建物を撮影するコーナーがあった。
それはミニコーナーなのだが、異常に狭い庭がある家とか、立派な鬼瓦がある家とか、バカバカしいコーナー。
俺は雑用係で、そのコーナーの取材にはいつも同行していた。
その日もそのコーナーのロケだった。
会社に行くと、ディレクター(以下D)から言われた。
「今日いく家なんだけど、今までとちょっと勝手が違うから」
俺は「???」と思いながら、とりあえずロケに同行した。
ロケ車の中でDから話を聞くと、今日行く家は明治時代くらいに建てられた洋館らしい。
現在の持ち主はその子孫らしい。
その子孫自身も管理はおろそかにし、洋館はほとんど廃館に近い状態だという。
車の中は俺、D、カメラマン(以下C)、カメラアシスタント(以下CA)の4人。いつもの面子だ。
そのロケにしては珍しく、結構遠い場所がロケ地だったので、その日は洋館に泊まるという。
それは事前に聞いていたので着替えはOK!
車は山道を走って行くが、俺は「??」だった。だって今日いくのは明治時代の洋館でしょ。
俺の住んでいた場所は、田舎でもわりと都会の場所だった。洋館があったら確実におかしい。
なのに・・・なのに・・・この山道はナニ?
こんな場所に明治時代人が住んでいたの?しかもなんで洋館なんか建てたの?
599 :2/14:2008/06/01(日) 00:56:53 ID:LX+5VDXB0
車はグルグルグルグル、同じ様な景色が続く山道を走る。かなり寒い。
そして民家など一件も無い?というかここに住所はあるのか?そんな場所。
決して閑静な田舎の別荘地なんかでは無いので、誤解しないように。
会社を出て実に3時間。本日のロケ地に到着した。
突如その洋館は現れた。デカイ。異様だ。なんか怖さすら感じる。車を降りると寒い。
とりあえず、撮影機材を降ろしてロケの準備。
外壁に蔦が絡まった立派に洋館・・・。
「ん・・・?」
なんか不思議な感覚だ。デジャビュのような感覚。
Cは外観の撮影をしている。俺もボーっと外観を見ている。
なんか不思議な感覚・・・少し懐かしい感覚。そして怖い感覚。
さすがの俺も気づき始めた。この洋館って・・・
撮影の邪魔をしないように、そっと建物の脇へ廻る。その時に合致した。
ガキの頃夢に出てきた洋館だ!俺はいつもこの場所に立って、この洋館を眺めていた。
しかし田舎の制作会社とは、撮影中はけっこうな緊張感。そんな与太話をスタッフにしたら怒られる。
とりあえず自分の胸にしまっておいた。
外観撮影は終了。
さて、与太話でもスタッフにしようと思った時、Dが俺に言う。
「俺らこの付近のインサート撮ってくるから、君は管理者に挨拶しといてくれる?
もう来て中で待ってくれているハズだから」
「そうなの?」って思っていると、スタッフは俺を残して消えていった。
仕事とはいえ少し怖い。でも仕事なので仕方ない。
とりあえずなんていうのかしらんが、ドアについているガチガチ叩くヤツで住人に呼びかける。
(明治の建物だから、インターホンがないのね)
しばらく待つ。反応はない。
仕方ない。ドアノブに手を掛ける。
鍵は掛かってなく、ドアは普通に開いた。中は少し薄暗い。
勝手に入るのも失礼かと思い、大声をだしてみる。
「すみませ~ん。本日お世話になる○○(制作会社名)のものですが、どなたかおられますか?」
しかし無反応。
外の光と目の慣れで、中の様子がうっすら見えてくる。
でかいホールのような場所だった。
少しボーゼンとしていると、ホール右のドアが開いた。
低い声で「はい・・・」と出てきたのは、50歳前後の男性だった。
少し違和感がある。「なんだこの感覚?」と思いながら。
600 :3/14:2008/06/01(日) 01:12:23 ID:LX+5VDXB0
俺「本日お世話になる○○のものです。
スタッフはまだ外の撮影をしていまして、とりあえず僕だけご挨拶に・・・」
男性「ああ・・・はい。どうぞ」
俺は中へ招き入れられた。ホールの奥に通される。
なるほど。確かに立派な洋館だ。手入れは行き届いているとは言わないが、外の廃館の感じよりは小奇麗だ。
食堂の様なところへ通される。
落ち着かない。
男「お茶入れてきますので・・・」
食堂から出て行く。
あの男どっかで見たことあるなぁー。
食堂の中を見回して見る。女の人の絵がある。
とりあえずDに連絡しようと携帯を出す。マジかよ・・・圏外。
待っていると、さっきの男登場。
俺に茶を出してくれる。ハーブ茶みたいなヤツ。俺これ嫌い。
でも不思議と飲める。割とうまい。なんでだろ?俺、嫌いなものは絶対ムリな方なのに・・・
気まずいので男と話す。
俺「すみませんスタッフ遅くて」
男「いえいえ」
俺「立派な洋館ですね?」
男「私も詳しくは分からないんですがね・・・この辺りは昔、外国人が暮らしている集落があったそうですよ」
土地に歴史あり。明治のこの山奥に外人集落!?金山でもあったのか?
それにしてもこの男・・・どっかで・・・
玄関口が騒がしい。スタッフが来た。少しホッとする。「すみませ~~ん」なんて声が聞える。
俺と男が同時に食堂を出て、スタッフの出迎え。
男とDは大人の挨拶をしている。
D「お世話になります。しかし立派な洋館だぁー」なんて。
男「好きに撮影して下さい。どの部屋も使ってないから、出入りは自由にして良い」
601 :4/14:2008/06/01(日) 01:15:55 ID:LX+5VDXB0
撮影(ってか洋館の探索)が開始される。
ホールの撮影が終わると、さっき入った食堂。
女の絵を撮影するC。この女の絵もなんか気になる。少し不気味。
もうさっきの男は消えていた(元いた部屋に)。
俺はCAにコソコソと耳打ちする。
俺「なんか不気味な洋館ですね」
CA「こんなもんじゃないかな?洋館って」
2階に上がる。小部屋が数室ある。Dが適当な部屋を開けていく。
ここは明らか掃除していない。埃臭いってか埃まみれだ。
俺「こんな所撮るんですか?」
D「こういう所が面白いんだよ」
そういうもんか?撮影中ADはあんまりする事がない。
Dが指示。CAが三脚あげたりライト当てたり。Cが撮影。こんな感じ。
俺は部屋の中を適当に見ていた。
ふと机に目をやる。おや・・・日記帳がある。珍しいこともあるもんだ。
俺が小学生の時、気まぐれで日記をつけようと、近所のボロい文具屋で買った日記帳と同じものだ。
日記は三日坊主だったけどね。きっとマイナーな会社のモノだろう。
それ以来、どの文具屋でも見たことはない。それが今ここにある。
偶然ってあるんだなって思った。
少し中を見たかったけど埃まみれ。
さすがに、撮影中にニヤニヤ人の日記見てたら怒られる。やめとこう。
次の部屋へ移動。ここは綺麗に片付いている。俺らが泊まる部屋なんだろう。
洋館には不釣合いの布団が4組。男よありがとう。
ここは用無し。一同トイレの撮影へいく。
604 :5/14:2008/06/01(日) 01:44:02 ID:LX+5VDXB0
便所は妙にかっこ良かった。いかにも洋館の便所って感じ。(どんな感じだ)
さすがに男4人も入れないので、Cだけ入る。ドアは開けっ放し、俺も便所の中を見ていた。
「!!??」
便所にかけてあった何気ないタオル。あの模様・・・。昔家になかったっけ・・・
まぁなんか不思議な感覚だった。
実際、自分がそんな立場にたったら意外と怖くない。
というより、霊的現象って感覚はまず無い。こんな事もあるのな?って感じ。
撮影後スタッフには話してみよう。
撮影終了。
ミニコーナーのロケだから早かった。それでも時間的には7時過ぎくらい。
泊まりだから別に無問題。スタッフ全員で男の元で行く。
D「ありがとうございました。いい画が沢山撮れました」
男「それは良かった・・・」
D「電話あったら貸してもらえますか?」
男「どうぞ」
ホールの隅に案内されている。未だに電話は使えるのね。さすがに携帯使えないから、不便だもんね。
Dは会社に、ロケは無事終わったと報告している。俺は男に、夕飯はいつにするか聞かれた。
晩飯は用意してもらう手はずなのね。俺の判断でいいだろう。
俺「機材の片付けあるので、それじゃ1時間後にでも」
男「わかりました。ちなみにお風呂は使えませんので我慢下さい」
俺「はい」
機材の片付けをしながら段々分かってきた。男が誰なのか・・・
「『夢で見た洋館』2/2」に続く
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