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『子猫の里親』

神父の子シリーズ。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?181

165 :神父の子 ◆/TT.ge0EVs :2007/11/06(火) 15:45:34 ID:cX30Hz2o0
ある日のこと。
「拾った子猫を飼ってもらえないか?」と、小学生くらいの女の子とその母親が来た。
商売柄?と言っていいのかわからないが、教会にはこの手の相談がよく来る。
残念ながら、拾ってくる小動物全てを飼っていたら、見事なワンニャンランドが出来上がってしまうので、
貰い手を一緒に探すのを手伝うという形で、一時的に預かる感じにしていた。
命を大切にするのはとても大切なことだから、親父も母も嫌な顔1つせずに里親探しを手伝った。
俺はもっぱらインターネット部隊として、里親探しを頑張った。
猫は去勢や予防接種なども里親がみつかる重要な部分でもあるので、
親父は貧乏だったが、自腹を切って払う時もあった。


166 :神父の子 ◆/TT.ge0EVs :2007/11/06(火) 15:46:19 ID:cX30Hz2o0
俺は早速、インターネットの里親募集に写真を載せた。
親父と母親はいつものペットショップとパン屋さんに、写真を張ってもらえるように頼みにいった。
猫を拾った女の子は、学校の帰りにいつも猫に会いに来ていた。
子猫を中心とした、あたたかい人情の輪のようなものを感じていた。

2週間ほどでインターネットで里親が見つかり、むこうから車で引き取りに来てくれることになった。
おまけに「予防接種や去勢はこちらで致します」と言ってくれて、とても大助かりだった。
正直、我が家はみなさんのお裾分けで食いつないでいるような貧乏な家だからだ。


167 :神父の子 ◆/TT.ge0EVs :2007/11/06(火) 15:47:26 ID:cX30Hz2o0
子猫の受け渡しの日、親父はたまたま別の教会に出張に行ってしまっていた。
俺と母と女の子で、里親になってくれる山田さん(仮名)に、あまった餌や匂いのついた毛布などを渡した。

子猫がいなくなって、ほっとしたようなさみしいような夕食時に、親父は帰ってきた。
親父も子猫がいなくなったことを、少し寂しいと感じているようだ。
その時、親父がケモノの匂いがするといって、鼻をくんくんしながら部屋を徘徊した。

その夜、親父が「猫がいる」と言って家の中と外を探しはじめたが、もちろんいなかった。

次の朝、親父が山田さん(仮名)に連絡を取ろうとしたが、
置いていった連絡先は、まったく関係のない電話番号だった。
俺は「インターネットで残っている情報から、山田さん(仮名)に連絡が取れないか?」と聞かれて、
あわてて連絡をくれるようにメールをしてみた。

次の日、メールの返事が来ていないことを親父に伝えると、親父は肩を落としながらこう言った。
「あの子猫、ミキサーに入れられて死んだかもしれん。申し訳ないことをした。かわいそうなことをした」

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