原著作者「怖い話まとめブログ」「真さん」 2013/01/13
中古車販売店で売られている車をイメージしてみて欲しい。
そのイメージは、商品である中古車のエンジンが整備され、
車体も内装も新品同様にクリーニングして売られているものだろう。
しかし新品同様に綺麗な車でも、訳アリの車が普通に売られていたりするから、十分注意して欲しい。
もしかしたら、とある国の人によって盗難されたものかもしれないし、
運転手が事故死した車が整備されて売られているのかもしれない。
今から30年ほど前だろうか、
キャディラック・エルドラドのフロントガラスに、『○○万円』と書かれた値札が張られていた。
学生だった自分と友人は車が好きで、昔も今も駐車場の車や販売店の車を見るのが楽しかったものだ。
そんな時に、高級車が破格の値段で売られていることに、私も友人も口を開けて驚いていたのを覚えている。
私たちはきっと見間違いだろうと、近寄って値札をよく見ても、『○○万円』と普通中古車と同じような値段だった。
それでも何かの間違いだと思って、
買う気もないのに店内へ入って、店員に「何故あんなに安いのか?」と聞いてみることにした。
若い店員は我々が学生でああ、そして買う気がないことを察したのか、あっさり理由を話した。
「あの車は、オーナーさんが夏に、車中で急死したまま放置されたため、臭いがこびり付いてしまったんです。
奥様は車を運転なさらないようなので、売りに出してるんです。
こういうの、意外とあるんですよ」
この店員は笑いながら説明してきた。
更に彼から、思いもよらない怪談話を聞かされることになった。
車体がボコボコの車、傷のついた車、事故車を、整備工場から引き取りに行くとき、
バックミラー越しに何か見えるというのだ。
「きっとこの愛車が心配で心配で、憑いて来てしまったのかも知れません。
たまに売れない中古車ってあるんですが、前の持ち主が乗っている場合が多いんです。
愛情が強すぎて、誰にも渡さないと言っているみたいで……
僕は図太い人間ですが、そういう車は無理にお客様には勧めないんですよ」
現在は事故車も新品同様に作り変えられており、
以前どんな理由があって手放したのか予想も見当もつかない、もしくは考えてもいないのではないだろうか。
中古品を買うときはくれぐれも用心して欲しい。
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