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『隣の席の男の子』


後味の悪い話 PART3

832 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/04/30 18:13
小学校に入学したとき、隣の席はこうちゃんという男の子だった。
私は遠隔地の幼稚園に通っていたため、小学校の敷地内にある幼稚園に通っていた他の皆となかなかなじめず、
よくめそめそしていた。
こうちゃんはちょっと乱暴なところがあり、口調もヘンにませていたので、クラスでは微妙に嫌われていたが、
私にはよくしてくれたので助かっていた。

ある日、皆で鬼ごっこをしてるとき、こうちゃんがいつものように鬼役をやっていて、
(今思うと、好意から)私を追いかけ、私は校庭の裏山から転げ落ちてしまった。
で、なぜかそこにあった犬の糞をべっとりつけてしまった。
クラスの皆が「くせー」と大爆笑で逃げ回る中、パニックで泣き叫ぶ私を黙って水道まで連れて、
犬糞を素手で丁寧に洗い、自分の服で拭いてくれ、家まで送ってくれた。
自宅にいた母が、びっしょり濡れて泣き腫らした顔で帰った私を見て驚いた。
甘える気持と服を汚して怒られるという不安とで、私はまた泣いた。
こうちゃんが「おばちゃん、まきちゃんは悪くねんだ」と言う。
母はこうちゃんが意地悪をしたのかと勘違いし、険しい顔でこうちゃんを追い返してしまった。

真冬に濡れた私は熱を出し、2日学校を休み、登校すると隣の席が変わっていた。
休んでいる間に、
「センセー、昨日こうちゃんがまきちゃんにうんこつけましたー」
「ずーっとまきちゃんをおっかけて、まきちゃんを山から落としましたー」
みたいになったらしい。
休み時間に、遠い席からこうちゃんに「もう、だいじょぶなのけー?」と言われた。
クラスの皆は、
「あー、こうちゃん、まきちゃんと一週間口きいちゃだめなんでしょうよー。
 昨日センセーにそう言われたっぺよう。」
と言う。
よそよそしかった皆に「まきちゃん、これから一緒にあそぼ」「かわいそだったな」と口々に言われ、
私は何も説明できなくなってしまった。


833 :832:02/04/30 18:13
翌週父兄参観会があり、音楽の授業で、
担任が「みんなのおうちの子守唄はどういうのでしたか。歌ってくれる人、手を挙げて」というのがあった。
何人かが歌った。
小学1年生が少し歌詞を間違えながらたどたどしく歌うと、
担任も保護者たちもほほえましく笑い合う・・・みたいな感じだった。
こうちゃんも元気よく手を挙げた。
こうちゃんは目を半開きにして頭をぐらぐらゆすり、ヘンな調子で手を打ちながら歌った。
「めでためでたーのー・・・・・、めでためでたーのー・・・・・、」
何度もそこだけ繰り返す。
私たち子供は意味も分からず、こうちゃんの大げさな振りに爆笑した。
が、担任と保護者たちはしーんとしていた。
こうちゃんの保護者は来ていなかった。
その後、クラスではその歌が流行ったが、担任は「やめなさい」と叱った。
こうちゃん含め、皆どうしてか分からなかった。
その後、こうちゃんと私はまた話をするようになり、皆もすっかり犬糞事件を忘れた。


834 :832:02/04/30 18:14
私が通うソロバン教室の近くにこうちゃんが住んでいて、ばったり夕方会った。
こうちゃんは照れて嬉しそうに、私の手をひき「俺んちに来いよー」と言うのでついて行った。
すごく小さな家で、部屋にはシーツとタオルが沢山干してあった。
お母さんが炬燵に入ってTVを見ていたが、「こんにちは」と2,3度言っても返事もしない。
TVの上に牛乳パックの壁を一面だけはがし、湯のみに土をもり、線香を立てたものがあった。
で、『おとうさま』と書いてある。
こうちゃんに「何これ」と聞くと、
「死んでないけど、お母さんがこれ作ったから、朝おがんでる」と言った。

することもなく、炬燵に入って一緒にTVを観てたが、お母さんが突然立ちあがった。
直径15センチくらいの鍋を持ってきた。
炬燵の上にその辺にあったタオルをひき、鍋を置いた。
こうちゃんは引き出しからスプーンを3つ出してきて、お母さんに「昨日の?しょう油もってきて」と言い、3人で鍋を食べた。
ちょっと行儀悪いけど、面白い食べ方だと思った。で、食べた。
すごくしょっぱくて、かむと苦かったようにな気がする。
まんまるくて、ちょっとトロンとしていて、外側が白っぽい灰色にふやけ、内側が茶色だった。

家に帰ると、気持ちが悪くなり吐いた。
こうちゃんちに行ったと言うと怒られると思い我慢したが、
問い詰められ、こうちゃんちで茹でたエビにしょう油をかけて食べたと母に言った。
夜中になっても吐きまくり、とうとう救急車で病院にいった。
病院で分かったのだが、私の食べたものはおたまじゃくしだった。
母はこうちゃん宅に電話したが、電話が止まっていたという。
担任に電話し、事の次第を話したらしい。

私は1週間ほど下痢をして学校を休んでいたが、登校するとこうちゃんはもう学校にいなかった。


835 :832:02/04/30 18:14
だいぶ後に聞いた話では、
父親は何か間違いをして服役中で、母親は神経症にかかっており、
こうちゃんは児童相談所みたいなとこに速攻で送られたということ。
先天的に何か具合の悪いものがあったのか、噂ではこうちゃんはその後『脳の病気』になり、
普通には生活できなくなったということを聞いた。(中学卒業時の話)

最近アルバム見て思い出した。
当時は気付かなかったが、アルバムの写真で見ると、
いつも同じ服を着ていて、明らかに生活の良くない感じが伺える。
まさか、おたまじゃくしなんかを日常的に食べさせられていたとは思わないが。
「こうちゃんは悪くない」と1回でも言えばよかった。
思い出すたび、後味わるい。
長文ごめんね。


901 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/04 03:00
>833
>「めでためでたーのー・・・・・、めでためでたーのー・・・・・、」
これ、どういう意味?
ここだけよくわからん。


902 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/04 03:48
>>901
東京音頭っぽいリズムかな。

ttp://www.geocities.co.jp/Athlete/6306/Song/ys/ys-to.html
「めでためでたの」で検索したら結構出てきた。
数から考えて、花笠音頭っぽい。
「めでためでたの 若松様よ」と、続くみたい。

しかし、何故大人たちに受けなかったのかなぁ。


905 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/05/04 05:40
>833
>こうちゃんは目を半開きにして頭をぐらぐらゆすり、ヘンな調子で手を打ちながら歌った。
>「めでためでたーのー・・・・・、めでためでたーのー・・・・・、」
>何度もそこだけ繰り返す。

花笠音頭の歌詞。
この歌はYG県でよく耳にされる。
YG県では、都会では考えられないほどご近所との人間関係が密接している。
だから、こうちゃんの父親が犯罪者であることと、母親が神経症(症状から総合失調症か?)ということは、
その地区の全ての父兄がウワサで知っていたと思われ。
そこへ、上記のこうちゃんの行動・・・。
事情を知っている大人達は、全く笑えなかったと思われ・・・。


914 :YG県民:02/05/05 06:02
めでためでた~の~♪(花笠)は、もともと山で気が触れた人が自分で目をえぐった話が原本らしい。
笑いものだったため寄せ歌にされたらしいが、
あれは『めでたい』と言う意味のめでたではなく、『(えぐって)目が出たと』いう意味のめでただときいてる。
確証はないが・・・(汗)
どんなもんなんだろうか?

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