∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part62∧∧
517 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/06/18(月) 19:47:20.70 ID:IfW5EEax0
友人の話。
地元の山寺を訪れて、門にある仁王像の側で腰掛けて休んでいたという。
ペットボトルのお茶を飲んでいると、いきなり境内から突風が吹き付けてきた。
フワッと身体が浮き上がり、そのままコロンと寺の外へ転がり出る。
驚いている耳元に、チッ!と舌打ちのような音が聞こえた。
驚いて周囲を見回してみたが、自分以外に誰の姿もない。
「大丈夫かね?」
そう言いながら出てきた寺の人に「大丈夫です」と返事してから、
「今、ここにだけ奇妙な風が吹きませんでした?」
そう思わず尋ねてみた。
すると、次のようなことを言われたのだという。
「この寺の仁王様は綺麗好きらしくてね。
境内に悪いモノが溜まってくると、箒で外に掃き出すと言われているんだよ。
時々、山門の間にだけ、境内の内から外へ向かって強い風が吹くんだ。
“仁王様の掃き出し”と地元じゃ呼ばれてる。
君は偶々、それに巻き込まれたんだろう」
「仁王様に掃き出されるって・・・
あの時聞こえたのは一体、誰の舌打ちだったんだろうな?」
彼は顔を顰めながらそう述べた。
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