「『フィンガーさん』1/2」の続き
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?288
71 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:19:41.63 ID:UI2AIrGB0
奥さんは、仕事中のはずの自分の旦那や爺ちゃんにまで電話して、すぐ帰ってくるようにと言った。
それが終わると、なんてことをしてくれたんだとオカンに詰め寄る。
息子が意識をなくしてるこんなときに、何意味不明のことを言ってるんだとオカン大爆発。
叩いてもなにしても俺が起きないから、救急車を呼ぼうとしたら、「無駄だ」と止められたそうだ。
その後、物凄いスピードで帰ってきた○家の旦那たちがそろうと、
オカンは仏間で家の人間に取り囲まれ、事情を説明されたそうだ。
○家には、仏間の隣にワラズマという部屋があるらしい。
なんでも何百年も前からあって、絶対に入ってはいけないんだとか。
ただ、いくつかある規則をきっちり守っていると、そのワラズマは家に富と幸福をもたらすんだとさ。
たしかに○家は裕福だった。
屋敷は結構田舎の山ん中にあるんだけど、大きな日本家屋の平屋で、大河ドラマとかに出てきそうな感じ。
で、幼い俺が、その入ってはいけない部屋に入ったっていうんだな。
72 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:23:46.28 ID:UI2AIrGB0
で、オカンはますます切れた。
だって、仏間の隣に部屋なんてなかったっていうんだ。
オカンも子供の頃から○家に来ていたので、間違うはずがない。
仏間は四方を廊下で囲まれている。廊下をはさんだ隣の部屋はどこも普通の部屋。
そう言って怒ったら、よく思い出してみろって言われたそうだ。
廊下にある仏間の壁、不自然じゃないかってさ。
確認してみると、部屋の中から見る仏間の広さと、廊下からみた仏間の壁の広さがあきらかに合わない。
廊下の壁のほうが、やけに広かったらしい。
どうやらそのワラズマ、たしかに仏間の横にあり、四方をすべて壁に囲まれているらしかった。
だからオカンはいままで気がつかなかったんだ。
でも、そんな部屋じゃ息子が入れるはずないじゃないかと言ったが、
倒れる前に言っていた内容と、直後に壁に穴が開いていたのがその証拠とか言って、取り合ってくれなかったそうだ。
でも変だよな。
たしかに昔のことすぎて細かい記憶はあやふやだけど、俺がフィンガーさんを見つけた部屋は普通の部屋だったぞ?
日の光が入って明るいかったし、内装も普通。
そして、ちゃんと襖があって、たしか開いていたはずだ。
じゃなきゃ、いくら俺が小さくても、
他人の家の一度も入ったことがない閉まった部屋に、入り込んで寝たりなんてしない。
73 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:26:26.25 ID:UI2AIrGB0
ともかく、これから忙しいからとか言われ、オカンと俺は屋敷を放り出されたらしい。
まあ、実際は隣町の大きな病院まで送ってくれて、お詫びと見舞いだとかで、なんかたくさん持たされたらしいけど。
他のことで手一杯で、帰ってきてから調べてみたら、
渡された物の中には鏡とか、数珠だとか、灰とか、変なものも混じってたらしい。
一番驚いたのは、底に現金が入ったパンパンの茶封筒が入っていたことだそうだ。
困って翌日電話すると、『迷惑をかけたからそのお詫びだ』って言われたみたい。
意味不明な物は、ワラズマを開けちゃった人にはあれを贈るのがしきたりとのこと。
そこまでしてくれなくても、俺は病院で大丈夫と言われ、いまはもう元気に遊んでいると話したら、驚かれたそうだ。
オカンに、いまその○家の人たちはどうしてるのか尋ねたら、
苦い顔して、しばらくしてポソッと、事業に失敗して一家離散したって言われた。
「ちょ、え、それって俺のせい?」って言ったらマッハで頭をはたかれて、「そんなわけあるか」と怒られた。
さすがにオカンも気になって調べたらしいんだけど、
大昔から金持だったから○家はザル経営をしていて元から危うく、普通にバブルが弾けた煽りを食らっただけみたい。
74 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:28:43.69 ID:UI2AIrGB0
ついでに、その時もらった謎グッズと金どうしたのって聞いたら、
謎グッズはしばらくして捨てて、金のことは教えてもらえんかったwww
オカンはその事件以来、すっかり○家とは交流を断ってしまったらしい。
でも、今回のことと絶対関係があると思ったから、親戚を頼り、俺はなんとかして○家の一人と連絡をつけた。
会って一言目で、「キミが生きてるとは思ってなかった」と言われたよ。
それから、ワラズマのことを教えてもらった。
とはいえ、その人は四男だったから、すべてを教えられていたわけじゃないみたい。
ワラズマは、それ自体が神様なんだそうだ。
でも、その中にいるのは、神聖とは真逆のすごく悪いものらしい。
日本人って、よく怨霊になった人とか祀りたてちゃう癖があるよね。
藤原道真が天満宮の神様になってたり、平将門が祀られてたり。それのミニチュア版らしい。
ただ恐ろしいのが、そうそう神様にできそうな怨霊なんていないので、人工的に作るんだそうだ。
詳しい作り方はその人も知らなかったけど。
ただ、よりたくさんの材料を使ったほうがよく、
自分に敵対する人や、恨みを持つ人を使ったほうが効き目が凄いらしい。
上記みたいに濁して言われたけど、意味がわかったとき、俺は心底震えたね。
75 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:32:26.67 ID:UI2AIrGB0
あと、ワラズマは『割らず間』と『童間(ワラシマ)』の意味じゃないかって。
最初のほうはわかるが、後ろは意味がわからない。
フィンガーさんは絶対成人女性の指だったし。
で、その人が覚えているワラズマの規則は、
・必ずその家の仏間の隣に作らなくてはならない。
・四方を廊下で囲み、そこは人の通行を制限してはならない。
・むしろ客人には、その廊下を通ってもらったほうが良い。
・ただし、ワラズマのことは、家の者以外に話してはいけない。
・あと、部屋には出入り口を二つないし、三つ作らなくてはならない。
76 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:34:18.19 ID:UI2AIrGB0
最後の変だよね。
尋ねてみたら、ワラズマは本来一代、よくて二代くらいにしか効かないものらしい。
けれど○家は元からお金持ちだったので、高名な行者に金を積んで頼み込み、
特別長く効くワラズマを作ってもらったんだって。
本来のワラズマは、障子や窓などで塞いであっても、出入り口をいくつも作って、
かつ客人にその周囲を歩いてもらわなければならない。
でも、部屋に入られたら術は切れ、中から怨霊が飛び出すという。
効き目は凄いが、かなりリスキーな代物だった。
どうやらその行者は、ワラズマ作りが専門つーくらい慣れた人だったらしく、
俺が考えた最強ワラズマ()を○家に作ってやったらしい。
本来の形と違い、○家のワラズマの四方が壁で塞がれていたのはそのせい。
で、もうわかってるだろうけど、普通ワラズマを開封した人間は、誰だろうとすぐ死ぬものなんだって。
なにせ怨霊入りの部屋を開封して、何十年も閉じ込められていた恨みパワーをもろに浴びるんだもの。
77 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:35:46.97 ID:UI2AIrGB0
なんで俺は生きてるのかってことと、
フィンガーさんは最後に俺の頬に突き刺さったが、それまでは優しい霊?だったぞと尋ねた。
すると、○家のワラズマは特別なので、中に何が入っているかは、作った当初から行者以外は誰も知らなかったそうで、
開けたのが行者オリジナルだったからじゃないかと言われた。
でも強力なはずなのに俺が何事もなく生き残るとか、わけわからんよな。
あと、とりあえずこれだけは弁解しなくてはと、
あの部屋には襖があり、最初から開いていたと言ったら、
「四方が壁の部屋にキミが入れた時点で、なんとなくわかっていた。
きっともう、うちのワラズマも寿命だったんだ」と言われたよ。
それに、人間の恨みがどれほど恐ろしものなのかは身にしみてわかったから、俺のことを恨む気にはなれないって、
遠い眼をして微笑んでた。
78 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:37:04.26 ID:UI2AIrGB0
○家はバブルが弾けて会社が潰れ、負債を抱えて一家離散したんだが、
四男さんは離散した後、兄弟や家族がどうなったか知らないと言っていた。
家族が離散したのは、少しでも降りかかる禍を分散させるために、意図的にそうしたらしい。
手紙や電話でも、繋がったとみなされ連鎖するので、いまでも誰とも連絡は取り合っていないそうだ。
そう話してくれた四男さんは、仕事中の事故で両足と左腕がなかった。
障害者になり、自分だけではどうしようもなくなり、
○家とは直接血が繋がらない、ワラズマの恩恵を受けていない親戚に助けを求めたから、俺は彼を見つけられたみたい。
迷ったが、俺はA子に知ったことを全部報告した。
親には話しづらく、かと言って自分の胸だけに留めるには重すぎた。
A子は実家のほうにワラズマのことを尋ねてくれたんだが、
彼女の先祖は行者ではないし、よくわからんけど祓うタイプの巫女ではないらしく、
そういうものは世の中にいくつも実在するという返事がもらえただけで、それ以上の新しい情報は得られなかった。
79 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:37:55.36 ID:UI2AIrGB0
で、最後に彼女が教えてくれたんだが、俺の頬につけられたフィンガーさんの印。
これは別に、ワラズマみたいに富や名声を与えてくれるものではなく、
大事故からでも生還できるというものでもないらしい。
『何があってもこいつだけは祟らない』という目印らしい。
ただし、弱い悪霊除けくらいにはなるとのこと。
あと、旅行先で出会った女の上半身。
あれはフィンガーさんかもしれない。
恐すぎて指先なんて見てなかったが、A子に押されて俺が目の前に飛び出した後のクネクネした動きが、
子供の時に会ったフィンガーさんの動きに激似だったような気がする。
ということは、彼女は少しづつ元の人の姿に戻っているんだろうかって話したら、
A子に「私はあの上半身、いろんな人間の指の集合体みたいに見えた」って言われてまたビビった。
フィンガーさんは確かに指一本だったはずなのに。
って思ったけど、必死で思い返すと、
あの部屋で寝ていたときに、最初に聞いた何かが落ちるような音、複数だったような気がするんだよな。
夢うつつだったし、自信はないんだけど。
80 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:38:53.25 ID:UI2AIrGB0
で、これを書こうと思ったきっかけなんだけど、
二,三日前に、駅の構内でフィンガーさんを見かけたからなんだ。
仕事の外回り中、電車の中から外をなんとはなしに眺めていたら、ホームにいた人の肩に止まっている指を一本見た。
電車が走り出す頃には、指は肩から落ちて、ホームのコンクリートの床を尺取虫みたいに這ってた。
周囲の人は誰も気がつかないみたいだった。
ただ、遠目からだけど、凄い太かったんで、あれは絶対男性の指だと思う。
ひょっとして、フィンガーさんの仲間はたくさんいるんだろうか?
それともあれは、フィンガーさん集合体の部品だったんだろうか。
ちなみに、俺の職場は都心だ。
でも、○家はぜんぜん違う場所だったよ。
82 :本当にあった怖い名無し:2012/01/14(土) 06:42:37.45 ID:UI2AIrGB0
以上で俺の話は終わりです。
投稿してみたら思ったよりも長い話だったようで申し訳ない。
あの事件以来、最近までオカルト的なものから逃げ続けてきたので、
似たような話やフィンガーさんやワラズマについて、なんか情報があれば教えてほしい。
116 :82:2012/01/14(土) 21:14:11.46 ID:UI2AIrGB0
ごめん、もう一回だけ。
ちょっとまだ混乱している。今日もフィンガーさんを見かけた。
普通に繁華街の床を這ってた。短くて細めだから、たぶん女性の親指。
迷ったけど追いかけようとしたら、スゲー頬っぺたが痛くなって、恐くなって止めた。
俺、この前までオカルトっぽいものって、書きこんだ二回しか見たことなかった。
なのに、ここ一週間で二回も見てる。
まだ頬っぺた微妙に痛い。もしかして、あの話、書きこんじゃ駄目だったかも。
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