霊能者のKさんシリーズ。
◇ 心霊ちょっといい話VER.7 ◇
308 :227:2005/03/22(火) 21:40:54 ID:NX8fGAkqO
Rさんには、Mちゃんと言う幼稚園に通う一人娘がいます。
いつも元気なMちゃんなのですが、ある時から様子がおかしくなりました。
夕方になると体調を崩し、夕食を戻したり熱を出す有様。
しかもMちゃんは具合が悪い筈なのに、虚ろな表情で延々とおもちゃで遊んでいるのだそうです。
病院に行っても原因は不明。
気味悪く思ったRさんは友人のAさんに相談、霊感の強いAさんは異常事態に気付きRさんにKさんを紹介。
最初は戸惑ったRさんでしたが、ワラにもすがる思いでKさんに頼む事に。
KさんはAさんに連れられRさんの家にやってきました。
309 :227:2005/03/22(火) 21:42:59 ID:NX8fGAkqO
Kさんは早速様子を見る事にしました。
部屋に籠もっておもちゃで黙々と遊ぶMちゃんと二人切りになったKさんは、
Mちゃんにしがみつく小さな白い影を見たのだそうです。
それはMちゃんより幾分年上の女の子でした。
Kさんが話し掛けようとすると、女の子の霊は怯えてMちゃんの体の中に入ってしまいました。
途端にぐったりとするMちゃん。
無理矢理霊を剥がそうとすると、Mちゃんの体に悪影響を及ぼします。
まして霊とは言え相手は子供です。
Kさんは困ってしまいました。
考えた末に思いついたのは、Mちゃんのおもちゃ箱のぬいぐるみ。
ぬいぐるみを使って霊に話し掛け、何とかきっかけを作ろうとしたのです。
310 :227:2005/03/22(火) 21:45:50 ID:NX8fGAkqO
霊は完全にMちゃんに取り憑いています。
アンパ○マンのぬいぐるみを使って、なるべく優しく女の子に話し掛けるKさん。
霊は怯えながらも、Mちゃんの口を使って話出す。
女の子の霊は自分を「Hちゃん」と名乗った。
「Hちゃんは幼稚園の年長さん」「Mちゃんが羨ましい」「ここはおもちゃがいっぱいある」
しかし、KさんがHちゃんに家に帰る様言うと、何故か激しく抵抗。
再びMちゃんの体に入り込んで、出てこなくなってしまいました。
Kさんは霊から聞き出した話を、RさんとAさんに伝えました。
Rさんは驚愕。
Mちゃんの通っている幼稚園の年長さんに、Hちゃんと言う女の子がいて、
その子はつい先日交通事故で亡くなっていたのです。
しかも、HちゃんはRさんとMちゃんがいつも行くスーパーの側で事故に遭い、
その場で即死したとの幼稚園の先生から話を聞いていました。
もちろんお葬式にも参列していたのです。
311 :227:2005/03/22(火) 21:50:53 ID:NX8fGAkqO
KさんはRさんからその話を聞きますます困惑。
Mちゃんに取り憑き悪影響を与えているのは幼い少女。しかも知っている子だったのです。
Mちゃんへのダメージ覚悟で無理にでも剥がすべきか?そうするとHちゃんは成仏出来ません。
でも放っておけば、死者に憑かれたMちゃんが体を壊す事は間違いない。
ですがRさんは、幼くして亡くなったHちゃんが可哀想でなりません。
Rさんは、何とかHちゃんを成仏させて欲しい、親御さんの元に帰してあげて欲しいとKさんに頼んだ。
Kさんも女の子の霊を傷つけたくはありません。
Kさんは、家に帰りたくないと言うHちゃんの霊を何とか説得すると決意。
明日再挑戦するする事にしたのです。
霊がいる事で淀んでしまったその場を清め、Kさんは帰りました。
312 :227:2005/03/22(火) 22:02:30 ID:NX8fGAkqO
次の日の夕方、おもちゃを持ってAさんと共にやって来たKさん。
Mちゃんに向かって優しく「Hちゃん、遊ぼう」「お話しよう」と語りかける。
最初は出てこなかったHちゃんですが、根気よく語りかけるKさんにようやく心を許したのか、
ぽつぽつとMちゃんの口を使い話すように。
何故お家に帰らないのかと問うKさんにHちゃんは、
「帰れないの」「ママが帰って来ちゃダメって言ったから」「F(恐らく妹)ちゃんがねんねしてるの」
と言ったそうです。
Kさんは必死で説得した。
「きっとママも会いたがってる」「Fちゃんも、もう起きてまってるよ」
「このおもちゃ持って行って、Fちゃんと遊んであげようよ」
約一時間の説得の後、ようやくHちゃんは頷いたそうです。
ですが、Hちゃんは家に帰ることは同意したものの、まだ恐いのかMちゃんにすがりついて離れません。
再び困り果てるKさん。
ヤケクソになったKさんは、Hちゃん憑きのMちゃんを連れてHちゃんの自宅に乗り込む事にしたのです。
314 :227:2005/03/22(火) 22:58:06 ID:NX8fGAkqO
Mちゃんを助けたい、そして家に帰れず迷うHちゃんも助けてあげたい。
そう思ったRさんはKさんに同意。
Mちゃんを抱っこし、Aさんの運転でHちゃんの家に向かいました。
Hちゃんの家に着くと、お線香をあげたいと言う名目で家に上がり込む。
やつれ果てたHちゃんの両親は驚いていましたが、お悔やみの言葉を述べたKさん一行に頭を下げる。
戸惑う母親にKさんは単刀直入に言った。
Hちゃんが家に帰れずMちゃんに取り憑いている事を。
当然、Hちゃんの父親は怒り狂い、Kさんの襟首を掴み帰れと怒鳴った。
Kさんは父親を無視して母親に言ったそうです。
「ママが帰ってきちゃダメって言ったからHちゃんは帰れない」
「Fちゃんがねんねするの邪魔したらダメだからお外にいるの」と。
Kさんの言葉を聞いた母親は、突然肩を震わせ狂った様に号泣し始めました。
315 :227:2005/03/22(火) 23:01:20 ID:NX8fGAkqO
父親もがっくりとうなだれKさんから手を離した。
詳しい経緯はこうでした。
生まれたばかりの妹Fちゃんが可愛くてしようがないHちゃんは、
幼稚園から帰ってくるとFちゃんについついチョッカイをかけてしまいます。
悪気が無くても、寝てる所を起こされるFちゃんは泣きだす。
出産の疲れ、家事・育児に追われ苛立っていた母親は、ついHちゃんをぶってしまい、激しく怒鳴ってしまいました。
「出ていきなさい」「Fちゃんが起きるまで帰ってくるな」と。
そして驚き家から飛び出したHちゃんは交通事故で亡くなり、
自分かどうなったかも分からないまま、家に帰れず淋しさからMちゃんにすがりついてしまったのでした。
話を聞いたRさんもAさんも、涙が止まらなくなってしまったそうです。
317 :227:2005/03/22(火) 23:30:16 ID:NX8fGAkqO
KさんはHちゃん(Mちゃん)に向かって、
「Hちゃん、お母さん帰って来ていいよって」と語り掛けました。
ぐったりとして眠っていたMちゃんは目を開けると、
Hちゃんの母親に向かって「ママ、Fちゃんと遊んでいい?」と言ったそうです。
母親は泣きながら頷きました。
その時、Kさんは無論、AさんもRさんも見たのです。
Mちゃんから離れ、Fちゃんの部屋に駆け出していくHちゃんの姿を。
事故から一月以上もたってから、ようやくHちゃんは自分の家に帰ってくる事が出来たのでした。
318 :227:2005/03/22(火) 23:45:15 ID:NX8fGAkqO
ちなみに、Hちゃんの父親に襟首を掴まれたKさん。後からひたすら頭を下げられたそう。
怪しい宗教団体だと思われてたみたいです。
そらそうだw
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