◇ 心霊ちょっといい話VER.5 ◇
293 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/08/18 16:23
20年以上前、俺が昔住んでいた家は二階建ての借家で、一階に俺と両親、二階にはばあちゃんが住んでいた。
じいちゃんは随分前に氏んでて、じいちゃんの部屋は物置だった。
ばあちゃんがいつも咳をしていて、一階で寝ていてもよく上から咳の音が聞こえてきた。
しかし、具合がとても悪いわけではなく、買い物に行ったり、公民館か何かの裁縫や編み物教室によく通っていた。
ところが、突然死んでしまった。なにかの発作らしく、外で倒れてそのまま逝ってしまったらしい。
死んでしばらくして葬式もすんで一段落ついた。
ところが、父親が「ばあちゃんの部屋から咳の音が聞こえる」と言い出した。
母親は「長いこと聞いてたから耳に残ってるんだろう」と空耳だと言い、取り合わなかった。
しかし、そのうち俺も母親も聞くようになった。
昼間家にいると突然聞こえたりする。
夕食を食べてるときなんかに一家3人聞こえたりして、「これは、ばあちゃんがいるんじゃないか」と騒いだ。
当然、ばあちゃんは火葬してこの世にいない。部屋は無人だった。
あまりにも続くので、咳がした瞬間、3人でばあちゃんの部屋に入った。
中には、ばあちゃんが着物や古い日記などを詰め込んでとって置いた段ボールが沢山置いてある。
ばあちゃんが死んだので年末にまとめて処分しようと、押入れから出して置いといたものだ。
突然、母親が段ボールを探し始めた。
中から公民館の教室で習ったと思われる裁縫などが沢山出てきた。
しばらくして、包装紙にくるまれた物が出てきた。
中を開けると、ぬいぐるみだ。たしかクマだと思う。
紙も入っていて、『お誕生日おめでとう』とある。
忙しくてそれどころじゃなかったが、ばあちゃんの命日の5日後が俺の誕生日だった。
昔からばあちゃんは、俺に女の子っぽいものばかり買い与えた。
誕生日にぬいぐるみを贈ろうと、公民館に行ったのだろう。
それを見て、母親が急に泣き出したのを覚えている。
やはり、ぬいぐるみを見つけてから咳はしなくなった。
ぬいぐるみは、その家を引っ越していつの間にか無くなってしまった。
両親もばあちゃんくらいの年になったが、そのときの事はよく覚えてて、
「咳はぬいぐるみを見つけてほしい合図だった」と信じている。
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