◇ 心霊ちょっといい話VER.1 ◇
666 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/04/08(日) 05:10
ある夜、11時頃、2階の部屋で受験勉強をしていた私は、
ちょっとコーヒーでも飲もうと思って、1階の台所へ降りていこうとしていました。
2階の階段の横は父が寝ている部屋。
そのころ新聞配送の仕事をしていた父は、普段は夜の9時頃には起きて出かけていきます。
しかしこの日はもう11時なのに、部屋から「ンゴ~」とイビキが響いてきました。
父はけっこうイビキがうるさい人で、
昔まだ家族が狭いアパートの一室で川の字になって寝てたころは、その音でなかなか寝付けないほどだったんです。
でももうこの頃には、まあ広い家に住めるようになり、私も個室をもらってたので、
なんか久しぶりに父のイビキを聞いた感じがして、ある種の懐かしさを感じましたが、
『あれ、まだ寝てる』という思いも同時に抱きました。
それで下の台所へ行き、まだ起きていた母に「今日は父さん休み?」と尋ねると、
「何いってんの、とっくに出かけたわよ」との返事です。
「え、うそ、今イビキ聞こえたよ!」と言ってみても、
「いつも通り、9時半には出かけたわよ」と、重ねての返事。
そして私の聞き間違いだろうと、さっさと寝てしまいました。
納得のいかない私は、2階の父の部屋をのぞいたのですが、
やっぱり父はもう出かけていて、部屋はもぬけのカラです。
不思議な気持ちのまま部屋を見回した私は、あることに気づいたのです。
父の部屋には祖父、つまり父の父の位牌のある仏壇が置いてあったことを。
そしてその祖父は、やはり父と同じイビキのうるさい人だったことを。
667 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:2001/04/08(日) 05:11
私は祖父の唯一の内孫だったので、生前、私をとてもかわいがってくれてました。
当時近くに住んでいた私は、よく祖父の家に泊まりに行き、枕を並べて眠りました。
そしてその時、私はやっぱり祖父のイビキに悩まされていたのです。
だから、あまり泊まりに行くのは好きではなかったのですが、
1回行くと50円のおこづかいをくれたので、それが目当てみたいなもんでした。
そのイビキを聞いた頃に私たちが住んでいた家は、実は祖父の家だったのです。
祖父の死後、近くのアパートに住んでいた私たち家族が移り住んだのでした。
『ああ、じいちゃんまだこの家にいるんだぁ~!』と、私は何の抵抗もなく思いました。
恐ろしい感じも全然なく、祖父が見守ってくれているような気がして、
むしろうれしい気持ちでいっぱいになったのです。
数ヶ月後の受験も無事終わり、私は志望校に合格しました。
祖父が死んでから、仏壇にお参りなどしたことのなかった私でしたが、
それからは時々は仏壇の前に座り、祖父に話しかけるようになりました。
そしてそれは、20年たった今でも変わらずに続いています。
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