ほんのりと怖い話スレ その74
609 :本当にあった怖い名無し:2011/07/10(日) 23:03:36.54 ID:wvTjmhQF0
友人Aとその姉(B)の話。
私はある中高一貫校の高校編入で、Aはその中学組。
Bは3歳上で、私が高校にいた頃は卒業していたけど、同じ学校卒。
Aは『見える』人だけど、そのことを知ったのは最近。
そういう話を自分からする子じゃなかったから、社会人になって再会し、一緒に飲んだ時に初めて聞いた。
有名だったのはB。
当時のクラスメイトから聞くところによると、『見える』系の話を平気でする人だったらしい。
「化学準備室には女性の霊がいる」等と大騒ぎしたこともあるらしく、
Bの話はB先輩伝説ということで、中学組はみんな知っている感じだった。
ただ、クラスメイトから聞いた話では、
・私(B)の家系は呪われた一族。
・この学校は受験勉強に疲れた人が集まっているから、それに惹かれて霊がハンパなく寄ってくる。
etc.
まぁ、いわゆる邪気眼的な話のオンパレード。
クラスメイトの話ぶりも、痛い先輩の話というニュアンスだった。
私自身はBに会ったことはないし、Aにそのことを聞くのも気の毒だし、在学中は一切その話に触れなかった。
610 :本当にあった怖い名無し:2011/07/10(日) 23:04:27.36 ID:wvTjmhQF0
高校時代は仲良しだったAとも、大学進学を機に会うこともなくなった。
卒業時にメアド交換したけど、ソフバンがまだJ-Phoneで、
ついでに地域ごとにドメインも違った時代だったから、
ケータイを変更をしたあたりから電話帳からも削除していた。
再会したきっかけは某SNSで、出身校とプロフィールからAを見つけた次第。
意外と近くに住んでいることが分かり、「久々に会おう」ということで、都内で会って飲んだ。
Aは全く変わっていなかった。
最初は高校時代にハマっていたアニメとかの話をしたけど、
酒の勢いもあったし、今となっては厨二病という感覚もあったので、
「そういえばBさんって、どうしてるの?w」と聞いてみた。
すると、Bは亡くなっていた。
内心マズっと思って話題を変えようかと思ったけど、
Aが半ばヤケのように酒を飲み始めたので、そのまま話を続けることとなった。
611 :本当にあった怖い名無し:2011/07/10(日) 23:05:38.35 ID:wvTjmhQF0
実は、『見える』のはBじゃなくて私(A)なの。
といっても、年を取るにつれてあんまり見えなくなったけど。
今じゃ、『違和感がする』『気持ち悪い』ってくらい。
それに、『見える』ことと『対処できる』ことは全く違うから、見えて得をすることなんかひとつもないよ。
Bの話も嘘。
だって、全然関係ないところに向かって「憑いて来ないで!」とか言って、九字切ったりしてるんだもん。
(そういえば、CLAMPとかを貸し借りしてたっけw)
実際、見えもしないのに「見える」と騒いでいるBにはムカついていたけど、
それを証明するには自分も「見える」と言わなきゃいけないし、
そんなことを言ったら私まで同じ扱いをされるから黙っていたの。
だから、中等部の頃は周りから色々言われて恥ずかしかったし、
アンタは当時の話を知らない(実は聞いていたけど)から、当時は普通につきあってくれて嬉しかった。
でも、姉が変な方向に行っちゃったのは、多分私のせい。
自分が小さい頃に「見える」とか言って騒いだせいで、対抗意識を持ったんじゃないかと思ってる。
Bが中学の頃に「私も見える」とか言い出しちゃって…。
私の方は、小さい頃はお寺やら神社やら、色んなところに連れて行かれた記憶があるけど、
生理が始まった頃からはあんまり見えなくなったしね。
(男性の方、生々しくってスミマセン)
612 :本当にあった怖い名無し:2011/07/10(日) 23:06:18.88 ID:wvTjmhQF0
とまぁ、Bの話は虚言だった。
それよりも、Aが『見える』という話の方がびっくりしたけど。
Bは私やAよりもはるかにいい大学へ進学し、実家を離れた。
Bはよほど大学生活が気に入ったのか、あれこれ理由をつけて全く帰省しなかったらしい。
Aも、Bの虚言につきあう必要がなくなったことと、自分自身も受験勉強で必死だったことで、
姉のことは気にしなくなった。
私とAが友達になったのもこの頃。
その後、Aも大学進学で実家を離れた。
Aが社会人になって1年目。
祖母が他界したらしい。
おばあちゃんっ子だったAはすぐに帰省し、さすがにBも帰省したのだが…。
「ヤバかった」
久々に会ったBは、成人して霊感の薄れたAにでも『見える』くらい、色々なモノをくっつけて帰ってきたらしい。
「分かりやすく言えば、全国の心霊スポットを歩き回ったのか!?ってくらい、ヤバかった」
613 :本当にあった怖い名無し:2011/07/10(日) 23:07:09.35 ID:wvTjmhQF0
ひきつるAをよそに、Bは飄々としていた。
Aは直感的に、Bはもう手遅れと感じたらしい。
と言っても、Aは祓えるわけではないし、とにかく一緒に居たくないということで、
お葬式が済んだら逃げるように実家を離れた。
「一応、『お寺へ行った方がいいよ』とは言ったけど、
私がそういう話をするのを嫌がっていたから、あんまり強く言えなかった。
Bのことはそんなに好きじゃなかったし、それよりも背後のモノが怖すぎて……」
Aの悪い予感は的中し、Bは半年後に急死した。
死因は急性心不全だった。
Bの死後、家族で部屋を引き払いに行ったAが見たものは、呪い系の本多数。
PCのお気に入りには、心霊関係のHP。
おまけに、心霊スポットとおぼしき場所の写真etc.
部屋に入ったときも、『嫌な感じ』が終始止まなかったものの、ショックで放心状態の両親には何も言えず、
遺品はAが全部処理したらしい。
Aの話はこれで終わり。
私も基本的には怖がりだから、それ以上つっこんだ話は聞けなかった。
まさか、再会記念飲み会が、こんな話になるとは思わなかったし。
最後にはベロンベロンになったAを駅まで送って別れたけど、
高校時代にBの噂話を聞いて、「Aの姉って痛い人だなw」と軽く考えていた自分にちょっとへこんだ。
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