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『うちの集落に伝わる迷信』1/2


∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part50∧∧

879 :T.F 1:2010/09/17(金) 19:11:36 ID:dJ+Cl42o0
4年前の盆休みの話なんだけど、怖い体験(自分的に)したので暇な人良かったら聞いて下さい。

うちの家系では(地方では?)、基本的にお盆は海や山、どちらも近づいてはいけないという決まりがあり、
小さいころからずっと、海や山に盆は近づいたことは無かった。
そのことにこだわってたのは、祖父や祖母の代の人であり、
父や母の世代からは、うるさく言われたことは無かった。
けど小4位の時、年寄り世代が盆に山に入った2つ上の先輩を、
どなり散らし、しばき回してるのを見てから怖くなり、
盆の間は、親戚の家とお墓参りぐらいしか外に出なかった。
中学校まで、盆は墓参りと仏壇参り位しかしてはならない時期、と思っていたほどだったw

市内の高校に入学して、皆が盆でも平気で海に泳ぎに行っているということを知り、本当に驚いた。
夏休みに入って、当然メールが友人から来た。盆の中日に海行ってキャンプしよう、という内容だった。
今まで迷信に騙され盆をエンジョイしてなかった、くそう!爺婆め!!という気持ちが大きかった俺は、
すぐ『OK』と返したと思う。
祖父、祖母にばれたら、怒られるのは分っていたので、父母にも本当のことは言わず、
「市内の友人の家でBBQやる。そのあと終電で帰ってくる。多分、帰るのは11時くらいだと思う」と嘘をついた。
(これなら、11時くらいに「終電に乗り遅れた」と電話して、
 「近くのファミレスで過ごす」と言えば大丈夫だろうと思った。
 父母は晩酌するから、市内まで迎えに来ないとふんでいた)


880 :T.F 2:2010/09/17(金) 19:14:10 ID:dJ+Cl42o0
当日、友人の兄(大学生)の運転する車で、海水浴場に隣接する町営のキャンプ場に向かった。
メンバーは、友人の兄も入れて5人。

テントの設置を終えて、海で泳いだ。
人はかなりたくさんいたと思う。
盆でも皆海で泳いでるじゃねーか!迷惑な迷信押し付けてくんなよ!!って思ったから。

海でも変な体験はあった。
浮いてた海藻がどう見ても長い髪の毛であったり、
ランニングシャツ来て海の中でボケっと立ってたオッサンが、
急にもぐり、いくら待っても浮いてこなかったり・・・。
後、記念写真をテントの前で撮ったんだけど、
5人とも膝頭に顔のようなものが写ってたり、1人だけ異常に青白い顔してたり。
まだいくつもあるけど、どれも「気持ち悪いなー」位で、
気のせいと言われれば、そうかもなで終わる程度。

日はまだ高かったが、5時頃にキャンプ場に戻り、BBQした。
飯食ってる時、今から何する?って話になった。
やはり予想通り、お約束の肝試しになった。
場所は、車で1時間くらいの約1000mの山(登山で有名らしい)の登山道から、
500m位入った所にある神社に決定した。
俺はその神社のことは全く知らなかったが、大学生のDQNの間では出るって有名なところらしい。
近くの峠走ってる走り屋が、なぜかここで死んでたとかなんとか。
車の中で怖い話(主に友人の兄の体験した話)してたときに教えてくれた。

そこへ向かう途中にも、結構奇妙な事が起こった。
オートマ車にもかかわらずエンストを起こしたり、
山道走ってたら、遠くの前方に懐中電灯くらいの灯りが見え、近づいてくるように見えたのに、
結局誰ともすれ違わなかったり。(一本道のはず)
地図確認のために路肩に車を寄せて停車したら、車を寄せた方の道路にあった街灯が一斉に消えたり・・・。
なぜか皆(俺も含めて)、怖がらず逆に盛り上がっていった。
皆テンションが上がっているのだが、おかしなテンションで、
何と言うか、楽しさで上がっているわけではなく、
かといって、怖いから無理して上げていこうというのでもない。
なんだろうか?言葉で表現しにくいテンション。全身の毛が逆立ってるような感じ?
もしここで何かのきっかけがあったとしたら、
車の中で、皆が笑いながら全員死ぬまで殴り合うんじゃないか、と感じさせる異常なテンション。


881 :T.F 3:2010/09/17(金) 19:15:24 ID:dJ+Cl42o0
そうこうしているうちに、そこに着いた。
駐車場の脇にダムがあり、そこからから登山道まで、ダムを半周する形で歩かなければならない。
今思えば、深夜(といっても10時位だが)で、先には山しかないんだから、
なぜ登山道入り口付近に車を直付けしなかったのか分らない。
その時は、俺を含め誰も気にならなかったみたい。
印象に残ってるのは、皆ニタニタしてた。
誰も冗談一つ言ってない。誰もしゃべってない。嬉しいことなんて何も無い。
ひたすら友人の兄の後に付いて歩いてただけなのに・・・。
俺もなぜか無性に嬉かった。多分笑ってたんだと思う。

登山道入口に着いたが、誰もそこで止まることなく山道へ折れて行った。
山道に入ってからだと思う。誰ともなく、「んふふふ」、「プッククフ」って声を出し始めた。
笑い声を無理に押し殺そうとしてできず、口から息が洩れてしまったような声。
今思うと、本当に気持ち悪いし怖い。あの時、俺も多分笑ってたんだからゾッとする。

神社に着くころには、皆声を出して笑ってた。
今思い出してみると、全員引き笑い?になってたような、
「ひっひっくっひっひッ」みたいな笑いかただったから。
俺は嬉しくてたまらないのに、涙を流してたはず。
後、軽い呼吸困難みたいになってて苦しかった。

神社の鳥居をくぐると、皆一斉に別々の方向に向かって歩いていった。
俺はしばらく境内の中をぼんやりふら付き、小さい池(堀?)のようなものを見つけ、
その淵にしゃがみ込んでた。
涙が池の中に落ちるのが、何故か楽しくてしょうがなかったんだと思う。
「ぅお~~い!!」「ぅお~~~~~い!!!」「きて~~~~!!」
境内の真ん中で、友人の兄が嬉しそうに叫びながら皆を呼んでいた。
その声を聞いたとたん、何故か今までの最高に嬉しかった気持ちから、
急にどうでもいい、だるい、面倒くさい、嫌だ、やるせない、そんな気分に変わり、
「ああ行かんとな・・・」と思った。
皆に近づくにつれ、どんどん悲しくなった。最後には嗚咽してたかもしれない。
懐中電灯に照らされた友人の兄は、満面の笑みを浮かべていた。手には朽ちてささくれ立った縄を持っていた。
皆はすすり泣いていたと思う。


882 :T.F 3:2010/09/17(金) 19:30:11 ID:dJ+Cl42o0
「さーぁ!着信が入りました。相手はいったい誰なのか。
 この携帯の持ち主の知人でありましょうか?はたまたまったくの他人なのか?
 184を押してしまえば・・・・」
突然、俺の携帯から大音量でアナウンスがはじまった。
一瞬「ふんん?」と思うと、1テンポ遅れてビックリし、半分腰が抜け尻もちを付いてしまった。
と同時に、大事なことを思い出した。11時が来た。親に電話しないと!!
周りを見渡すと、俺の隣にいた友人も腰を抜かし、
目が合うと、「お前の?なんやー!ビビったわー」みたいなことを言った。
兄の方は、縄を持ったまま小声でゴニョゴニョつぶやいてた。
とにかく、俺も隣の友人もおかしな状況であることに気づき、変になってる友人3人をゆすった。
兄の方もゆすったが、縄を掴み「ウーッ」ってうなってておかしいままだったから、
とりあえず駐車場まで戻ろう、兄は最悪引きずって行こうって事になった。
縄を取り上げ引っ張ってみると、思ったよりすんなり付いてきた。
何故か意識がはっきりとしていたであろう。この時の方が良く覚えていない。
一回兄が暴れて、引っ張ってた弟がこけたような気がしないでもないが、
とにかく、駐車場の車に乗り込んだときには皆いた。

車に乗り込んだときには、時折激しいしゃっくりはするものの、いつもの友人の兄に戻っており、
「よーわからんけど、なんだったんや!?」みたいなことを言ってた。
とりあえず、30分位の所にあるファミレスに行くことになった。
また兄がおかしくならないかが心配だったが、誰も車の免許を持ってないので、
せめてと、『平井堅のpopstar』とか『ゆず』とか、テンションの上がる歌を熱唱して気を紛らわせた。

ファミレスに着くと12時少し前で、人はまだたくさんいた。

「『うちの集落に伝わる迷信』2/2」に続く

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