怖い話まとめブログ ロゴ
※旧怖い話まとめブログ跡地
このブログについて  お問い合わせ  オカルトblogランキング  怖い話まとめブログ管理人のツイッター  B!

※この記事はhttp://nazolog.com/blog-entry-3313.htmlに移転しました。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


次の記事:『人の死に顔が写る』
前の記事:『えんべさん』
[ --/--/-- ] スポンサー広告 | この記事をツイートする | B!

『お父さんの背広』


死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?247

276 :1/2:2010/08/14(土) 15:50:31 ID:1sqOXHD40
堀井雄二がドラクエでブレイクする以前、雑誌のコラムで書いてた知り合いの子の話。
(桃鉄以前のさくまさんだったかも?まあどっちでもよろし)

彼女(仮にAちゃんとする)が住んでいた家の玄関はガラスの格子戸で、
腰掛けて靴を脱ぐところ、上がりかまちっていうの?そのすぐ後ろにもすりガラスの引き戸がはまってた。
だからAちゃんのお父さんが「ただいまー」と帰ってきて靴をぬぐと、その影がすりガラスごしに見える。
お母さんは廊下に顔を出して、その大きなシルエットに「お帰りなさーい」と声をかけるのが、
いつもの光景だった。

だけど、Aちゃんが6年生のとき、お父さんは家で突然倒れて、
そのまま運ばれた先の病院で亡くなってしまった。
前ぶれもなく伴侶を失ったお母さんの悲しみようは深かった。

玄関のコート掛けには、倒れる前日、
会社から帰ってきたお父さんがハンガーにかけた背広が、そのままになっていた。
いや、お母さんがそのままにしていたのだ。
まるでそうしていれば、ひょっこりお父さんが帰ってくるとでもいうように。
Aちゃんにもその気持ちはよくわかった。

だけど、三ヶ月ほどたったある夕方、
背広を見ているうちに、ちょっとイタズラしてやろうという気持ちがわいてきた。
いつまでも泣いてちゃダメだよお母さん、お父さんだって浮かばれないよ、という思いもあったのだろう。


277 :2/2:2010/08/14(土) 15:51:18 ID:1sqOXHD40
お父さんの背広をそっとはおって、格子戸をわざと大きな音をさせて開ける。
すぐさま上がりかまちに腰かけて、靴を脱ぐしぐさ。
背広はブカブカだったけれど、
夕陽に照らされてすりガラスに映った影は、お父さんのように大きく見えているはず…

「はーい、どちら様で…」 
お母さんが息を呑む気配がした。
「…あなた…なの?」
その瞬間、Aちゃんの胸に後悔の念がおしよせた。
その声は『お母さん』ではなく、『夫に呼びかける妻』のものだったから。
ちょっとからかうつもりだったのに、心の底からお父さんが帰ってきたと信じてる。
ごめん!お母さん!ほんとはアタシだよ!
あわててそう言ったつもりだった。
でも、口から出た言葉はちがった。
太い男の声で、
「ただいま…」

次の記事:『人の死に顔が写る』
前の記事:『えんべさん』


copyright © 2024 怖い話まとめブログ all rights reserved.
/ プライバシーポリシー