∧∧∧山にまつわる怖い話Part4∧∧∧
『不思議な沢蟹』
595 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/07 02:19
知り合いの話。
渓流釣りをしている時、樹木に覆われ隠れているようになった淵を見つけた。
そこで彼は、不思議な沢蟹を見つけたのだそうだ。
甲羅に見たことのない模様があり、たくさんの卵を腹に抱えていた。
見ていると卵は仔蟹になって、すぐに母蟹を食い尽くしてしまう。
蟹たちはみるみる大きくなり、やがて共食いをし始めた。
最後に残った一匹が、またたくさんの卵を産み始める。
この不思議な流れが、ビデオの早送りのように延々と繰り返されていた。
我に返って淵から出たが、意外にもほとんど時間は経っていなかった。
不思議なことに、腕時計以外の身に付けた金属が、薄く錆をふいていた。
『たのまれたので』
596 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/07 02:20
知り合いの話。
冬山で、遭難した登山者が見つかった時のこと。
捜索隊に加わっていた人から、こんな話を聞いたという。
遭難者はメモ帳に、死ぬ寸前まで日記をつけていたらしい。
日記の最後の方は飢えと寒さのためか、字が乱れていて読めたものではなかった。
しかし、日記の最後に書かれた二行の文章だけは、はっきりと読むことができた。
『おとうさん おかあさん もうかえれません ごめんなさい
たのまれたので かきました』
まるで子供が書いたような下手な字で、平仮名だけが使われていた。
字は強い筆圧で書かれており、遭難者の書いた字体とは明らかに違っている。
遺族にメモ帳を渡す時には、最後の一行は破りとったということだ。
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