怖い話まとめブログ ロゴ
※旧怖い話まとめブログ跡地
このブログについて  お問い合わせ  オカルトblogランキング  怖い話まとめブログ管理人のツイッター  B!

※この記事はhttp://nazolog.com/blog-entry-2672.htmlに移転しました。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


次の記事:『僕を山に入れなかった理由』
前の記事:『寝室』
[ --/--/-- ] スポンサー広告 | この記事をツイートする | B!

『ついてくる犬』

坂さんシリーズ。
【師匠】洒落怖シリーズ物総合スレ【ナナシ】

588 名前:本当にあった怖い名無し:2007/12/28(金) 00:18:56 ID:cf9/9PNIO
僕がその犬に気付いたのは、店へと続く坂を登っている時だった。
僕の奇妙な友人――古美術店を営む坂さんの店は、その名の通り坂の途中にある。
傾斜が緩やかだとはいえ、距離は結構なものだ。
その長い道のりを、犬は最初から最後までずっとついて来た。
犬と僕の距離は大体3mほど。
だけど爪がアスファルトに当たる音や荒い息遣い、静かに僕の背後を狙う気配は、
まるで犬がすぐ側にいるかのようにありありと分かった。
僕は特に急ぐこともなく――そもそも、今回はこれ自体が用事だ――だらだらと坂を登り続けた。
犬は大人しく後をついてきた。
途中一度、犬が唸るように鳴いた。
瞬間、背筋が凍るほどの寒気を感じたが、僕は振り向かなかった。


589 名前:本当にあった怖い名無し:2007/12/28(金) 00:22:18 ID:cf9/9PNIO
店内では、坂さんがにやにや笑いながらレジスターに肘をついて座っていた。
「何もなかったみたいやね?」
僕は適当な所に座りながら答えた。
「当たり前ですよ。アイツは悪いモンやないんですから」
「その根拠は?」
「僕が飼っとった犬なんですから」
坂さんは呆けた顔で僕を見た。
「……どういうこと?」
「一昨日死んだから、坂の上にあるペット霊園に引き取ってもろたんですよ」
坂さんは頷いた。
「確かに、アレが出だしたんは一昨日の夜からやけど……
 おかしいな、ここらへんにペット霊園なんてないはずやけど」
「はい?」
「大体、坂の上は異人館があるやろ」
そういえばそうだった。この街の坂は、多くが山の手の異人館街に通じている。
この坂だってそうだ。大事な観光地でもあるあそこに、霊園なんてあるはずもない。
「君、騙されたんやね」
坂さんは哀れむように言った。

それ以来、坂を登る度に、犬は静かに僕の後ろをついてくる。
頭を撫でることは出来ないが、馬鹿な飼い主にはその資格がないのだろう。
この一件から、僕は坂さんを頻繁に訪ねるようになった。

次の記事:『僕を山に入れなかった理由』
前の記事:『寝室』
[ 2011/03/26 ] その他シリーズ | この記事をツイートする | B!


copyright © 2025 怖い話まとめブログ all rights reserved.
/ プライバシーポリシー