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『ババさまの祠』

神社の次男シリーズ。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?159

521 :本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 21:47:47 ID:hCt6GD0+0
うちはかなりの田舎に住んでる。
代々神社をやってるんだが(俺の家のは小さい。本家がでかい)、俺と妹は小さい頃から継ぐ気なんてさらさら無く、
兄と姉がときどき神社についての勉強(?)みたいなのしてた。
だから俺は、自分の家の神社がどんな神様を祀ってるとか全然知らないわけ。

そんな俺と妹と、姉ちゃんが家で留守番してたときのこと。
俺の家は古くて、便所が家とはなれたところにある。
ぼっとんというか、気持ち悪くて、妹は極度の怖がりなんで、いつも俺がついてってた。
神社の裏に便所はあって、その奥は森みたいになってて、祠とかがぽつんと建ってて、
あんま近づくなって言われてた。
妹が夜中に起きてきて、「お願い。トイレついて来て」って言われたもんだから、目を擦りながらついてった。
妹が入ってるとき、なにやら森の奥のほうから音が聞こえてきた。
カーンみたいな、コーンみたいな、鉄と鉄がぶつかり合う音みたいなの。


523 :521:2007/03/05(月) 22:03:05 ID:hCt6GD0+0
妹が出てきてから、音のするほうに一緒に行ってみることにした。
「やめとこ、ねえ、怖いってば」とかブツブツいってるけど、俺は気にせず行った。
もともと妹にはちょっと霊感があるから、何か感じてたのかもしれない。

音のするほうにだんだん近づいていくと、人間がいることに気付いた。
でもそいつの風貌が恐ろしいの。
顔に色塗ってて(赤?茶?)、目なんか開ききってて、
するとその女が、(多分女。年齢はわからない)
「おまえたちhdfg、k;!!!!」みたいに叫んできて、石投げながら追いかけてきた。
妹も俺もわけも分からず半泣き状態。無我夢中で逃げた。
そこに姉ちゃんが来て、「よくも!かえれ!!」みたいなこと言って、
「カルヅゲタマが知ると」とかその後叫んだ。あまり聞き取れなかった。

女は森の奥へ逃げていった。姉ちゃんが来なかったらどうなってたんだろ・・・
俺が「姉ちゃんありがとう、何だろ・・・あいつ」って言ったら、そばで妹がしゃくりあげてる。
姉ちゃんは「さつき(妹)を部屋に連れてって。あとで話すから」って言わった。
姉ちゃんもちょっと青ざめてた。俺と妹はそれ以上に青ざめてたけど。

妹が布団に入って、その部屋で姉ちゃんは俺と妹に話してくれた。
まず「さつき、見たんだね。アキ(俺)は?」って言われた。
あの女のことかと思ったけど、どうやら違うらしい。
俺の家族の名前は俺含めて仮名です。


525 :521:2007/03/05(月) 22:12:22 ID:hCt6GD0+0
「まさか、あんなのがまだいるなんて。さつき、詳しく言うとどんな感じだった?」
「うん、初めて見たから詳しくは分からないけど、女の子だった。
 凄い髪が長くて、女の髪にぶらさがってた」
妹と姉ちゃんが、何やらそのようなことを話している。
あの時は、たしかに女の子なんて居なかった。
髪の毛は女も長かったけど、そんな人間がぶら下がるほどの長さでもなかった。
ていうか、ぶら下がれるの?人間。

「アキは見えなかったんだよね?」って言われたから、「うん」って言うと、姉ちゃんは話し始めた。
なにやら俺の家の神社は、昔呪いの方の御祓いとかもしてたらしく、
あの祠に居るのは、昔地方一帯に呪いをかけてた神様らしい。
(俺たちは『ババさん』とか、『ベベさん』とか呼んでた)
その影響かもしれないが、俺の家の神社の裏では、時々呪いの儀式が行われていたらしい。
本来ならば他人に気付かれてはいけないものらしく、物音は立てずに行われていたので、
俺らは気付かなかったらしい。


529 :521:2007/03/05(月) 22:24:12 ID:hCt6GD0+0
俺の家の神社でやると、跳ね返った呪いが祠で受理されるのだという。
今回は一番オーソドックスな『丑の刻参り』ではないだろうか。
俺の推測だから分からないけれど、多分本格的なものだろう。

姉ちゃんはそのあとも色々語った。
今回のあの少女は、ここの神社に居た霊ではなく、外から入り込んだものであろうということ。
なんか、こっちの地方の霊ではないらしい。(何で分かったのかは聞いたけどスルーされた)
そして恐らく、姉ちゃんでは力が足りない。兄ちゃんか母ちゃんでないと駄目らしい。
あの女は最近うちの神社に、昼間決まった時間に御参りに来ていたらしく、
そのときの服装は、決まって赤いワンピースだった。
まさか丑の刻参りをするとは、兄ちゃんでも思わなかったらしい。
「詳しいことは私の口からは全部いえないから、
 明日両親と兄ちゃんが帰ってきてからにしようか」
そこで話は終わった。

多分、森では続きが行われていただろう。
俺がトイレ我慢できなくて、コソコソもう一回行ったときも音してたからorz


532 :521:2007/03/05(月) 22:34:26 ID:hCt6GD0+0
両親と兄ちゃんが帰ってきてからは、神社で本格的な話し合いが始まった。
「あれはいかん。早いとこババさんにあずかってもらおう」ということを母が話すと、
「もしかしたらババさんでもあかんかも」という答えが兄から返ってきた。
俺は黙って聞いてた。
話によると、あの少女はやっぱりこっちの地方の霊ではないらしく、
昔先祖が張った結界(この結界の中にいたら、ババさんのところに自動的に誘導されるらしい)も効かない、
きわめて強い霊だという。

正体があまり分かっていない分、俺ら家族(というか4人)はもう一度結界を貼ることにした。
そのときに、姉ちゃんが「あ」と声を上げた。
妹が「昨日の女が来た!」と叫んだ。
女は確かに赤いワンピースに、前見たときより比較的に髪の毛はまとまっている、まともな格好をしてた。
ただ今日は、神社のところに祭っている箱みたいなものに石を投げ出した。
父ちゃんが「やめろ!キヌを置いて行け!キヌを!」と、女に向かってみたことも無いような形相で叫んだ。
後から聞くと、キヌは少女の名前らしい。少女が名乗ったと兄ちゃんは言ってた。俺は聞こえなかった。
女は一目散に逃げ出した。


538 :521:2007/03/05(月) 22:41:54 ID:hCt6GD0+0
女は祠のほうに向かっていって、祠を必死であけようとした。
祠があいた。初めて俺は祠の中を見たけど、こけしみたいなのが入ってた。
「見るな!見ちゃいかん!」と父は言い、
母はまた「カルヅゲタマが知ると、オンヌシが黙ってはいないぞ」みたいなこといった。
(この言葉については、「継がんやつには関係ない」といって教えてくれない)
女はうめきながらこけしを撫でている。
父と兄ちゃんが取り押さえて、
「アキとさつきは神社へ行け!ババさまにお願いしてくれ!」と母が叫んだ。
俺と妹は走って神社に行って、何も考えずババさまにお祈りした。
すると妹がやけに泣き出した。
「ふぃ、ひゃあ、ぎゃえgcrんxc」と訳の分からないこと言って、
「呪うぞ」と、妹からは聞いたことの無いような低い声でつぶやいた。


543 :521:2007/03/05(月) 22:49:01 ID:hCt6GD0+0
俺はもう怖くて怖くて、本当に大泣きしながらババさまにお祈りした。
妹はときどき白目を剥きながら、「のろう」という言葉を交えつつ叫んでいる。
俺の家の神社は山の上のほうにあるので、人は誰も来てくれなかった。
そのとき、さすがに霊感の無い俺でも分かった。
妹が俺の背中を引っかくときに、なにかが俺の髪をひっぱった。
妹の手は両手とも背中にあるから、妹ではない。

そして、『受け止めた』か『いけるとみた』みたいな言葉が聞こえてきて、
妹が倒れ、俺もなぜか身体が軽くなった。
そして母が「終わった」と言って、「さあ、さつきを連れて行って」と、どこかへ歩いていった。
さつきはもう意識を取り戻したようで、「自分でいける」と言って、俺と二人で歩いて家まで行った。


548 :521:2007/03/05(月) 22:55:39 ID:hCt6GD0+0
俺はまだ半泣きだったけど、妹も両親も兄も姉も意外と平気な様子で、その日の晩御飯は普通の白い飯だった。

あのときに助けてくれたのは、ババさまでは無いらしい。
あの女がどうなったのかも、誰も俺と妹には教えてくれなかった。
ただ、あの女が神社に来ることは二度と無かった。
ババさまの祠はというと、今は別の場所に移されて、相変わらず近づいてはいけないといわれている。
母も父も兄も姉も、「忘れろ」とだけ俺に言う。

あと、ババさまはあくまで呪い関係の神様らしく、あまりいいものではないようです。
あのあと母が何度も本家に行って、同じようなこけしを目撃したので、本家が処理してくれたんだと思う。

これでおしまいです。
俺の中ではまだ決着ついてないんですが、家ではこの話題はタブーになってますorz


559 :本当にあった怖い名無し:2007/03/05(月) 23:10:27 ID:nmF7GB970
>>553
てか>>521以外は皆、事の真相を知ってるんですかね?
家族でも緘口令が敷かれるなんて……。


561 :521:2007/03/05(月) 23:14:37 ID:hCt6GD0+0
>>559
妹と俺は知りません。
姉ちゃん、父ちゃんも深くは知らないそうです。
うちの神社は母、次に継ぐのは兄なんで。
継ぐ人以外は、災難があるといけないので深く知らされないとか。

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