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『もう一人の彼』


不可解な体験、謎な話~enigma~ Part61

378 :本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 02:37:39 ID:hE9CpVEC0
数年前、結婚したいと思っていた恋人と同棲してました。
だいたい付き合って3年目で同棲して、1年目くらいのことでした。

休日の朝、なんか彼が布団の中でごそごそしてるので目が覚めました。
自分達はお互い淡白な上に、当時は家族みたいな関係が強くなっちゃって、正直男女の関係はほとんど無かったです。
おっ珍しいなあ~と寝ぼけつつ、彼を受け入れてました。
なかなかに情熱的でした。

と、その真っ最中のこと。
ガチャガチャとドアが開けて、誰かが入ってきました。
買い物袋のようなものを抱えたそいつは、一瞬立ち尽くした後、
持ってた荷物を玄関に放り投げると、物凄い勢いでこちらに向かってきました。
部屋はカーテン閉めていて薄暗かったので、そいつが近くまで寄ってきてやっと顔が見えました。
それは、彼でした。
もう驚いて、後ずさって?飛び上がって?さっきまで抱き合ってた彼を見ると、それは彼でした。
彼が2人いました。


379 :本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 02:38:41 ID:hE9CpVEC0
それに気づいた瞬間から気分が悪くなって、記憶が微妙なんですが、
2人の彼は、小声で早口で口論をしていたようでした。
布団にいた方が服を着つつ、
「交代の日がきたので彼女も返してもらう」というようなことを言ってたのは覚えてます。
実際の言葉はもっと長い文章だったけど、意味はそんな感じのことだったと思います。

玄関からきた方の彼は、怯えたような怒ったような、すごい変な顔してました。
それで、いきなり外に飛び出していってしまいました。
布団の彼も、追いかけて出て行ってしまいました。
私はちょっとちびってしまいましたが、
腰が抜けたという状態になってしまって、立ち上がることができませんでした。

布団の上で立ち上がろうと努力していると、結構すぐ彼が帰ってきて、
「驚かせてごめん。もう大丈夫」と言いました。
でも、冗談だよとかドッキリだよとか無くて、玄関に散らばってた牛乳パックとかを黙々と片付けてて。
彼は1人だったけど、これはどっちの彼だろう、もう1人はどうしたんだろう・・・
そう考えると、置かれた状況の意味がわからなすぎて、猛烈に気分が悪くて、何も聞きたく無くて、
抜けかけた腰を奮い立たせて外に出ました。

それで、その日そのまま実家に帰って、「彼とケンカした」と言って休ませてもらいました。


380 :本当にあった怖い名無し:2010/05/27(木) 02:40:02 ID:hE9CpVEC0
それからの記憶も曖昧なのですが、実家で暮らして、なんとか彼と別れました。
ケンカしたと皆には言っていたのですが、本当の理由は言えなくて、
今でも自分の頭がおかしんじゃないかと思うことがあります。
でも、別れたいという私に、理由を聞かず、かなしそうにしてた彼を覚えているので、
あの事件は現実にあったことだと、私の頭は信じています。

あの時、『何で2人いるの』『あれなんなの』って問い詰めていれば、
彼も言い訳しやすかったのかもしれませんが、私はそうしなかった。
何も聞きたく無かったし、無かったことにしたかったし。彼も何も言いませんでした。
彼を見るだけで気分が悪くなってしまって、何も言えなかった。
『これは、どっちだろう』とか。というか、『何人もいたとしたらどうしよう』と思って。
今も軽く人間不信です。

今も彼は普通に実在してて、元気にやってるそうだというのを聞いて、
良かったと思えるようになったので記念に。
絶対関わりたく無いですけど。

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