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『時間停止』


不可解な体験、謎な話~enigma~ Part47

36 :1/2:2008/09/20(土) 23:00:13 ID:CT7hZDw50
もう時効だと思うから書いてみる。
文章書くの下手だから、読みにくかったらごめん。

十年前、俺が小学六年生の時の話。

ある日学校から帰る途中、人通りの多い交差点で信号待ちしてたら、
突然時が止まったみたいに、自分以外の周りの人や道路を走ってる車とかが一斉に止まった。
え?何これ?と思ったとたん、交差点のど真ん中に男と女の二人組みがいきなり現れた。
本当にいきなり、ッパって感じで。
見た目は普通の、どこにでもいそうな感じの若い男女だった。
ただ二人とも全身黒っぽい服着て、黒ずくめだったのが印象に残ってる。
で、現れるなりこっち見て、声そろえて「あ」って言った。

俺は何か知らんがヤバイと思って、逃げようと走り出したが、男の方に追いかけられて腕つかまれた。
俺はすぐにでもそこから逃げたかったけど、腕つかまれたことで完全に恐怖で動けなくなった。
男が俺の腕をつかんだまま女に向かって、
「失敗してんじゃねーか」とか、「失敗だけならまだしも、姿見られたのはまずい」みたいなことを言ってた。
女の方は必死に男に、「すみませんすみません」って何度も謝ってた。
男はしばらく、「どうするか」とか、「まずいよなー」とか言いながら、困った様子だった。

そしたら男がいきなりこっちを向いて、「このこと誰にも言うなよ?」って言ってきた。
俺は怖くて、必死で「言いません!言いません!」って言った。
横で女が「それは駄目ですって!ばれたら余計にまずいことになりますって!」って言ってたけど、
男が「バレなきゃいいんだよ、そもそもお前が失敗したから~」とか言って揉めだした。

結局男が女を言い負かしたみたいで、女は何かしょぼんとしてた。
男がかがんで俺と同じ目線になって、「これやるから絶対誰にも言うなよ、頼むから」って言って、
つかんだままの俺の腕を引っ張って、手に何かを握らせた。
俺が「わかりました、絶対誰にも言いません」って言ったら手を離してくれて、
そのまま頭わしわしなでながら、「すぐ元通りになるから、もうお家帰りな」って言った。
女の方も「脅かしちゃってごめんね」って、申し訳なさそうに言った。


37 :2/2:2008/09/20(土) 23:00:58 ID:CT7hZDw50
俺は男に貰ったものをポケットに押し込んで、
言われたとおりに、止まった人達の横を通り抜けながら、走って家に帰った。

玄関で靴を脱ぎながら、お母さんも止まってるんだろうかと不安になった。
止まったお母さんを見るのがなんとなく怖かったので、
いつもお母さんがいる居間の方を見ないようにダッシュして、自分の部屋に入った。

ランドセルを片付けてると、
居間の方からテレビの音と、テレビを見て笑ってるお母さんの笑い声が聞こえてきたので、
居間に行ってみたら、お母さんが驚いた顔して「いつ帰ってきたの?」って言ったのを見て、
あ、元通りになった、と安心した。
お母さんに今体験したことを言いたくて仕方なかったが、言わないと約束したので言わなかった。

部屋に戻ると、男に貰ったもののことを思い出して、ポケットから取り出してみた。
和紙っぽい紙に包まれた飴みたいだった。
包み紙から出してみると、ちょっと白っぽい透明な飴で、中心部分が虹色のマーブル模様みたいになってた。
流石に食べるのはヤバイだろと思ったが、
この頃の俺は酷く食い意地が張っていたのと、好奇心に勝てずにその飴を食った。
味はめちゃくちゃ美味かった。
今までに食べたことの無いような味で、その美味さはとても言葉では表現できない。
とにかくものすごく美味かった。

その後ももう一度その飴が食べたくて、毎日のように交差点の付近をうろうろしたりしてみたけど、
一度もその男女に会うことは出来なかった。
中学2年の時に遠方に引っ越してからは、その交差点に行くことも出来なくなってしまったけど、
今でも道を歩いてるときに交差点を見ると、この体験を思い出す。

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[ 2011/01/17 ] 不可解な体験・謎な話 | この記事をツイートする | B!


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