死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?57
116 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/10/31 21:30
時は15世紀、スコットランドはジェームズ1世の御代。
グラスゴー市の周辺において、謎の旅人失踪事件が頻発しておりました。
当局が必死に行方を求めても何の手がかりも得られず、
結局、最後に旅人の宿泊した宿の主人が、『強盗殺人死体遺棄』疑いで処刑去れてゆく始末。
その凄まじさは人口が減るほどでありました。
一方、周辺の海岸では、人の手足が漂着する事件が続発、人々は海の化け物の仕業とおののくばかり。
旅人の行方不明と遺体漂着の接点に気がつく人は皆無でした。
ところがある日のこと、グラスゴーの町に、血塗れの男が助けを求めて馳せ込んで来たのです。
「異様な集団に襲われ、妻がさらわれた」との事。
話は王の耳にも達し、すぐさま200人の兵士と犬が、男の証言する街道筋に差し向けられました。
しかし、現場は一面の草原。異様な集団が隠れ潜む場などありそうに思えない。
突然、猟犬が海の方へ激しく吠え始めました。
一団が海岸へ向かうと洞窟を発見。すぐさまそちらへ向かいますと・・・
118 :116続き:03/10/31 22:00
・・・兵士一行がその洞窟で見た物は、陰惨きわまりなき光景。
洞窟の入り口で様子をうかがっているのは、異様な雰囲気の四十人あまりの男女。
服装には全く統一性が無く、大の大人が娘の衣装を纏い、あるいは娘が老爺の格好をしている。
それでいてその一団は、みな似たり寄ったりの容貌。
精神に障害があるのか、兵士達の来訪に興味を示そうともしない。
兵士達が気圧されつつも洞窟内にて目にした物は、想像を絶する世界でした。
天井から下がる乾し肉薫製肉、樽詰めの塩漬け肉、貯蔵食糧全てが人肉。
台の上には先ほどの男の妻と思われる死体が、腹を裂かれ、内臓を抜かれて横たわっておりました。
その後の調査により判明した実体は空前絶後。
事の始まりは今から四十年ほど前、
無頼漢のソウニー・ビーンが、身持ちの悪い女と駆け落ちしたことに始まります。
2人は海岸のこの洞窟に居を構え、追い剥ぎを生業としつつ、八男六女をもうけました。
やがて妻は死にましたが、娘息子が次々と近親相姦で子を設け、一家は総勢四十七名。(忠臣蔵じゃあるまいし)
一家は必ず六人以下の少人数の旅人を襲って皆殺し、金品を奪い、衣類を剥いで自分らが着用し、肉を食らいました。
余分な肉は貯蔵加工し、それでも余った分は平気で海上投棄したのです。
・・・旅人の行方不明、漂着する手足、全ての謎は解き明かされました。
一家四十七人は捕らえられ、エジンバラのリースに連行。裁判無しで処刑されました。
男は全員斧で四肢を切断されて、出血多量で死ぬまで放置、
女はその光景を見せ付けられた後、火炙りに処せられました。
彼らは悔い改めもせず、最期まで呪いの言葉を吐き続けたと申します。
・・・それにしても、殺され喰われた旅人も不幸ですが、
一番の死に損は、無実の罪で処刑された宿の主人たちでしょう。
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