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『奇妙な足音』


不可解な体験、謎な話~enigma~ Part14

909 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/11 02:01
小学5年の時の体験。

家の近くに、『UFOの基地がある』と噂されている山があった。
実際、『その山の上空に奇妙な動きをする光の球を見た』と言う友人も複数人いた。
そこで当時UFO博士を自認していた私は、基地を見つけてやろうと探険を決行することにした。
当然友人たちには内緒である。
自分ひとりで発見し、後でみんなに自慢しようという、非常に幼稚な発想からだった。

ある日曜の朝、ひとりで山を登り始めた。
この山は200mほどの高さで、頂上に神社があるだけで険しい場所もない、小さななだらかな山である。
神社には山道が一本続いている。私は山道をだらだら登っていった。

中腹あたり。
山道を登って行っても神社に着くだけなので、道を外れ山の中に踏みこんで行った。

しばらく木々の間をわけいりつつ歩いて行くと、急に妙な気配が漂っているのを感じた。
なんとも言えない嫌な気配。なにかが近づいてくる。
音がするわけでもないし、臭いやなにかがしたわけでもないのに、山の下の方からなにかが登って来る気配を感じた。
もし大人だったら…見つかったら怒られるかもしれないと思い、岩陰に隠れて様子をうかがった。
すると、気配を感じた通りに下の方で音がした。木の葉(秋だった)を踏みしめる音がする。
やっぱり大人が登ってきたんだと、私は身を小さくして隠れていた。

音が近づいて来るのを聞きながら、奇妙なことに気がついた。足音が変なのだ。
普通、大人が登ってきたのなら、かさっ、かさっという感じで、リズムよく登って来るはずだ。
なのにこの音は、一度かさっと木の葉を踏みしめた後、しばらく間があいてからもう一度かさっ、と音がする。
そう、ちょうど一本足でけんけん飛びでもしながら登って来るような音だった。
私はパニックになってしまった。
なにものが登って来るのか確かめたかったのだが、人間じゃないなんかへんなものが登って来るのだ。
これは絶対見つかってはいけないと、口を手で必死に押さえじっとしていた。


910 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/07/11 02:02
やがて足音は私の隠れる岩の少しむこうを通りすぎて行った。私には気づかなかったようだ。
足音が山頂の方向へ去って行ったのを確かめてから、私は岩陰からそろそろと這い出た。
そして山の上の方を見た。
……いた。山頂にむかって一本足で登って行く影。
ゆらゆらと体全体をくねらせながら、ぽーんとジャンプするように登って行く影を私は見てしまった。
すぐにその影は木々の間に消えて見えなくなってしまったが、まちがいなく一本足だった。
怖いというのも通りすぎて錯乱状態のようになりながら、私は山を駆け下りていった。

その日の夜には発熱までして、数日小学校を休む羽目にまでなった。
…あれがなんだったのか、いまだに説明がつかない。

関連話:『くねくね』

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