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『当り屋』


死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?34

318 :1/2:03/04/20 23:04
叔父に聞いた話。

今はどうか知らないが、昔は『当り屋』という商売があった。
自分で車にぶつかっておいて運転手に因縁をつけ、慰謝料や口止め料をふんだくるという、ヤクザな生業だ。

叔父が小学生の頃、自転車ごと車にはねられたことがあった。
幸いたいした怪我もなかったのだが、運転手が車から降りてくると、
突然見知らぬオッサンが横から現れて、「おい、俺のガキになんてことしてくれたんや」と運転手に迫った。
叔父が怖さと痛さで泣いていると、オッサンは金銭を要求しだした。
もめた末、オッサンが運転手をどつくと、
運転手は悲鳴をあげて車に乗り込んで、あっという間に逃げてしまった。


319 :2/2:03/04/20 23:05
オッサンは、「済まんかったな坊主」といって慰めてくれた。
叔父はなんとなく、この人は当り屋だと分かったという。
それを聞いてみると、
「俺はな、むかし無茶しすぎて、いま体ボロボロや。首は何度もやったし、肋骨も一本ないんやで」
そう言って胸を触らせてくれた。
その時、異様な胸の冷たさに、叔父はぞっとしたという。
「それにな、心臓もないんや」
無理やり触らされると、そこも冷たくて、確かに鼓動はなかった。
「じゃあ、俺、あの運転手追いかけるわ」
そう言うと、オッサンは叔父を残して去っていった。

「あれはこの世のものではなかった」と、口癖のように言う。

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