嘘シリーズ。
ほんのりと怖い話スレ その63
398 :本当にあった怖い名無し :2010/02/06(土) 23:35:51 ID:GMXvb+rq0
大学に入って最初に出来た友達が不思議なやつだった。
お互いオカルトに傾倒していたためか、僕らはすぐに仲良くなった。
互いオカルトにハマったきっかけは、小さい頃の不思議な体験がきっかけではあったけれど、
僕の、飛行機を隕石と見間違えた、とか言うレベルのきっかけとはレベルというか・・・次元が違った。
彼は小さい頃、自分のついた嘘が事実になる事に気づいたらしい。
そして、それは今でも続いていると言っていた。
僕は信じなかった…
当然、全ての嘘が現実になるわけではなく、嘘のまま終わる事もままあったようで、
僕は最後まで彼の話は信じなかった。
確かに、彼の予想や予言は良く当たっていたけれど、
むしろ嘘というよりも、未来が見える、とでも言ってくれた方がわかりやすかった。
彼が話す自身が体験した恐怖体験や不思議体験話は、全て嘘だった。
しかし、なぜかその体験に身に覚えがあるだとか、知り合いの体験にそっくりだとか、
そういうことを良く言われていた。
僕も彼の話に身に覚えがあった事もあった。いつも話し終えてから気づくのだけれど…
それでも僕は信じなかった。
夏のある日。
彼から電話で、
『とんでもない嘘をついてしまった。真実になってしまうかもしれない』といった旨の内容の相談を受けた。
彼の新しい面白イベントが始まるのかと思った僕は、会って詳しく聞くために彼のアパートへ向かった。
彼の部屋のドアをノックと同時に開けると、彼は・・・首を括って既に事切れていた。
整理整頓された机の上には、大きく『僕は生きている』とだけ書かれたノートがあった。
すぐに警察を呼んで、色々聞かれたけれど、彼の『嘘』の力については説明しにくいので話さなかった。
僕はなんであんなに冷静だったのだろうか。
元から…アパートのドアを開ける前から…初めて会ったときから…既に彼の死を知っていたような…
そして不謹慎にも疑問に思った。
果たして彼は、あのノートに書かれた『嘘』をいつ書いたのだろうか…
死ぬ前に書いたのか…まさか死んだ後に書いたのか…
それ以来、僕はとり憑かれたかの様に、嘘の体験談を話すようになった。
いつか嘘が真実になったら、彼の死を初めて受け入れることが出来るかもしれない。
まぁ嘘だけど
次の記事:
『携帯ストラップ』
前の記事:
『リョウメンスクナ』